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介護老人施設の教訓、体験つづる報告書など作成 台風19号1年 茨城・大子

茨城県大子町の介護老人保健施設やすらぎが作成した報告書(右)と証言集=2020年10月6日午後7時42分、韮澤琴音撮影

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「常に最悪の事態想定し行動を」

 2019年秋、茨城県内に大きな被害をもたらした台風19号から、12日で上陸1年を迎えるのを前に、浸水被害を受けた大子町の介護老人保健施設「やすらぎ」が、当時の被害や教訓をまとめた報告書と職員の体験をつづった証言集を作成した。久慈川の氾濫で床上95センチの浸水被害を受けながら、1階利用者37人が助かった経緯も説明。安達栄治郎施設長(70)は「常に最悪の事態を想定して行動することが大切だと伝えたい」と話している。【韮澤琴音】

 19年10月12日。晴れ間ものぞく午後1時40分ごろ、1階の利用者を2階に移す「垂直避難」をすべきか、益子豊子看護師長代行(62)が安達施設長に相談した。停電でエレベーターが使えなくなることを懸念したからだ。

2階の廊下で避難生活を送る施設の入所者。昼間でも肌寒く薄暗かった=茨城県大子町大子で2019年10月16日午前11時13分、川崎健撮影

 垂直避難を実施すれば、移動の待機やエレベーターの往復などで職員、利用者ともに負担がかかる。多くの職員の記憶にあったのは、11年の台風15号。避難しなかったが、結果的に被害もなかった。「そこまで心配しなくて良いだろう」という楽観が大勢を占めていた。

 一方、テレビでは「50年に1度の大雨」と連呼、11年にはなかった高齢者等避難開始も発令されていた。安達施設長は「不満が出た時の責任は私が取る。全員を2階にあげて」と指示。1時間半かけて利用者を避難させた。

 施設内への浸水が始まったのは同日午後11時ごろ。ベッドの高さは80センチ程度で、避難していなければ1階の利用者には水死の可能性もあった。60代の女性看護師は、証言集の中で「(垂直避難の)決断がなかったらどうなっていただろうと悪寒がした」とつづっている。

 安達施設長は「避難が良い判断だったかは、被害が起きてから分かるもの。人の命を預かる施設として、最悪のシナリオを考えて行動した」と話す。

 一方、油断もあった。高額な介護用の特殊浴槽2台や自家発電装置などは1階に放置、約6800万円の被害を出したことを報告書で自戒している。

 安達施設長は「一生の間に命に関わる災害を何度も経験することはない。だからこそ、他人の経験から学ばなければ」と説明。「この記録を真剣に受け止めて、自分ごとのように考えてほしい」と訴えた。

 報告書と証言集は同施設のホームページで一部公開されている。

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