「皿洗いで腹いっぱい食べて」 種まいた名物店主 餃子の王将出町店閉店へ

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長年の常連客と談笑する井上定博さん=京都市上京区の餃子の王将出町店で2020年9月8日午後4時57分、南陽子撮影
長年の常連客と談笑する井上定博さん=京都市上京区の餃子の王将出町店で2020年9月8日午後4時57分、南陽子撮影

 「飯代のない人は、食後の皿洗いでお腹(なか)いっぱい食べさせます」と書いた張り紙を掲げ続けた「餃子の王将」出町店(京都市上京区)が10月末で閉店する。厨房(ちゅうぼう)から若者たちを応援し続けてきた店主の井上定博さん(70)は「『衣食住』て言うけど、食、住、衣やと思うねん。まず食わんと生きていかれへんやろ」。看板を下ろす日まで残りわずか。「おっちゃん、なんで閉めるんや」。惜しむ人が絶えない。

 カウンターのみの20席余り。地元客でにぎわう商店街近くにあり、周辺には京都大や京都府立医科大、同志社大などがある。

 「もう20年以上前やけど、ほんまお世話になりました」。9月のある日、正午前の混み合ってきたカウンターで天津飯とギョーザを食べ終えた新開茂樹さん(48)が切り出した。

 京大生のころはアメフト部で忙しく、6年かけて卒業し、大学院にも進んだ。アルバイトしても食費に困る生活だったが、申し訳なくて実家に仕送りを増やしてとは頼めなかった。そんな時、井上さんが黙っておいてくれる鶏のから揚げがありがたかった。皿洗いをして食べさせてもらった時もある。「今のうちに苦労しといたらええ、頑張れよ」。井上さんから掛けられた言葉を、大阪市の青果卸会社で忙しく働く今も忘れない。

 「おまけを皿に乗せてやるやろ? その時、『私を助けるためにおっちゃんがくれはった』と思える子は出世するんや」。180セ…

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