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社説

キャッシュレス不正 官民の危機意識足りない

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 キャッシュレス金融サービスを悪用して不正に資金が引き出される被害が拡大している。

 NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を悪用した預貯金の不正引き出しは計約2800万円にのぼっている。発覚して1カ月余がたったが、被害の全容は不明なままだ。

 不正引き出しが多かったゆうちょ銀行では、他の電子決済サービスの悪用も判明している。計5000万円近くを補償したというが、顧客からの問い合わせが後を絶たない。

 不正を防げなかった背景には、決済事業者と銀行の双方が安全対策を相手任せにしたことがある。その結果、電子決済の口座を開設する時と銀行口座にひもづける際のいずれの段階でも「2段階認証」など適切な本人確認が行われていなかった。

 不正な取引はネット証券にも広がっている。SBI証券では顧客6人の口座から計約9800万円が流出した。

 証券口座のIDとパスワードを入手した何者かが不正にログインして株を売った上、本人になりすまして開いた銀行口座に資金を移した。銀行側は偽造された本人確認書類を見破れなかったというから深刻だ。

 いずれのケースでも銀行の口座情報がどのように盗まれたかは分かっていない。

 ネット金融犯罪は日々、巧妙化している。にもかかわらず、本人確認すら徹底しないままキャッシュレス事業を推進した業界や政府は、危機意識が足りなかったと言われても仕方がない。

 被害者への補償が遅れたことや、利用者自身が銀行通帳を確認しなければ不正引き出しの有無が分からないことも不信感を助長している。

 決済事業者と銀行は不正被害が起きた場合の責任分担ルールを決めていなかった。銀行業界は一連の問題を受け、ようやく異常なネット金融取引を検知するシステムの整備を検討し始めた。

 麻生太郎金融担当相は銀行などの対応を「遅い」と批判した。だが、そうした業界の実態を監督し切れなかった当局の責任も重い。官民あげて安全対策の再構築を急がなければならない。

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