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学術会議任命拒否

日本学術会議が推薦した新会員候補6人を菅首相が任命しなかった。極めて異例の事態の背景や問題点を追います。

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#排除する政治~学術会議問題を考える

首相が法律に書いていないこと言い始めたら混乱する 大西隆・元会長が語る政治と科学の関係

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インタビューに答える大西隆・日本学術会議元会長=東京都千代田区で2020年10月7日、竹内紀臣撮影
インタビューに答える大西隆・日本学術会議元会長=東京都千代田区で2020年10月7日、竹内紀臣撮影

 日本学術会議が推薦した会員候補6人を菅義偉首相が任命しなかった問題。2011年10月~17年9月の2期6年間、学術会議会長を務めた大西隆・東京大名誉教授(72)=都市工学=が毎日新聞のインタビューに応じ、今回の任命拒否に対する受け止め方、政治と科学の関係、学術会議の役割などについて語った。【岩崎歩、池田知広、柳楽未来/科学環境部】

理由を明かさないのが一番問題

 ――今回、候補者の一部を菅首相が任命しませんでした。何が問題だと。

 ◆結論的には理由を明かさなくて、任命をしなかったというところが一番問題だと思います。学術会議が会員選考をして、推薦にもとづいて首相が任命するというのが法律の文章。「首相がやることは、推薦されたものは必ず機械的にはんこをつくことだけだ。判断はするな」という意見もあるみたいですが、私はそこは極端じゃないかと思います。

 ただ、推薦されたものをどう考えるかという場合に、気に入らないからだめだとか、自分がけんかしたことがあるからだめだとか、そういうことで任命しないことがあってはいけないので、選考基準というのは重要。これも法律にも書かれていて、明確になっているわけです。「優れた研究または業績のある科学者」というのが選考基準なんですね。

 日本語的に「優れた研究または業績」というのが何か分かりにくいんですが、法律が何回か変わっています。一番分かりやすかった頃は、業績は技術的行政であり、特許とかそういうこと。研究の方は論文です。研究者が論文として成果を発表する、それを評価した業績と、技術を開発したので特許をとりましたという業績と、両方を評価しますよと、それが研究または業績です。

 あと、科学者というのは、物理学者など小中高生がイメージするものとは少し違い、社会科学、人文科学も含めています。優れた研究または業績のある科学者というのが選考基準で、それを巡って選考している。

 何が重要かというと、推薦するには研究業績を、技術的な業績、論文的な業績を出してもらって評価するということ。地位にある程度反映されているので、大学の教授であれば主要な業績を出してもらうということになり、そういうものをベースに評価しているわけです。

 首相がそれを受け取るわけで、推薦された人を任命しないということであれば、結局、研究、選考基…

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【学術会議任命拒否】

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