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第70期王将戦リーグ特選譜

「最も忙しい棋士」永瀬王座、初戦を慎重な指し回しで勝利 佐藤九段は2連敗

佐藤天彦九段(左)と永瀬拓矢王座=それぞれ過去に撮影した写真を組み合わせています

 今最も忙しい棋士、永瀬拓矢王座が王将戦リーグで初戦を迎えた。意外にも今期がリーグ初参加。2009年に棋士になった時から注目され、16年に棋聖戦でタイトル戦初挑戦。以来3回目のタイトル挑戦で、19年に叡王を獲得。続いて王座も獲得し2冠となった。いよいよ来るべき人が来たという周囲の受け止め方だった。

 しかし、豊島将之竜王の挑戦を受けた今年の叡王戦七番勝負では、1千日手2持将棋をはさむ大熱戦の末に3勝4敗で失冠。久保利明九段を挑戦者に迎えた王座戦五番勝負も2勝2敗の五分で14日に第5局を迎える。

 今月に入り、中1日から中2日の間隔で本局が5局目。3日後には王座戦第5局と移動を交えながら対局が続く。B級1組順位戦でも開幕6連勝で首位を走っている。今年度の最多対局賞の有力な候補と目されている。

 そんな状況の中、王将戦リーグも自身の開幕を迎えた。来月20日の最終局まで、挑戦に向けて全6局の試練を迎える。【山村英樹】=▲が先手、△が後手

<第70期大阪王将杯王将戦リーグ1回戦>

2020年10月11日

持ち時間各4時間

場所・将棋会館

▲佐藤天彦九段(1敗)

△永瀬拓矢王座

▲7六歩  △8四歩  ▲6八銀  △3四歩

▲7七銀  △6二銀  ▲2六歩  △7四歩

▲2五歩  △3二金  ▲7八金  △6四歩

▲4八銀1 △7三桂3 ▲7九角1 △4二銀

▲3六歩3 △8五歩4 ▲6八角  △5四歩

▲2四歩14 △同 歩8 ▲同 飛1 △6三銀2

▲2八飛6 △2三歩  ▲6九玉2 △6五歩4

▲5六歩3 △3一角18(第1図)

 佐藤天彦九段は初戦で広瀬章人八段に敗退し、黒星スタートになった。昨年の名人戦七番勝負で豊島に0―4のストレート負けを喫し、それ以降はタイトル戦にからむ機会がなかった。名人3期の実力者だけに、少し寂しい感じもする。

 将棋ソフトの活用もあって、ここ2、3年で急激に将棋の内容が変わり、従来の考え方では及ばないところもかなり出てきた。もちろん佐藤も対応するべく努力しているのだろうが、元々高度に完成されていたタイプなので、対応するのに時間がかかるのかもしれない。しかし今回、王将戦リーグに復帰、A級順位戦でも2勝1敗と勝ち越して中盤戦に臨むなど徐々に上向いてきた。本局が一つのターニングポイントになるかもしれない。

 佐藤が矢倉を志向し、永瀬が対応する展開になった。前日に終わった竜王戦第1局では後手番の豊島が意欲的な研究手順で挑戦者の羽生善治九段を圧倒したが、永瀬はじっくりと駒組みを続けた。ただ、6三銀型に構え、△6五歩~△3一角はあまり見ない形。将来の△6四角に期待する展開で、本局の流れを左右する趣向になった。佐藤は「せっかくだから」と動く。

 第1図以下の指し手

▲3五歩12 △同 歩20 ▲2四歩46 △同 歩3

▲3五角1 △5二玉14 ▲2四飛31 △2三歩8

▲2六飛  △7二金18 ▲3七桂1 △8一飛5

(第2図)

 3筋、2筋の歩を突き捨てて▲3五角と進出。後手が早めに△3一角としたため、金銀の連結が十分でない機会をついた。永瀬は局後「苦労が多くて……。難しいのですが、悪いのかもしれません」と自信なさそうに語った。形としては、△6二金~△8一飛を目指したいのだが、△6二金には▲7五歩と桂頭を狙われるのを心配した。本譜の△7二金は玉から離れるが、柔軟な構え。△6二金には何か…

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山村英樹

1981年入社。青森支局を経て1986年から東京学芸部で囲碁将棋などを担当。

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