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台風19号関連死 死因公表、半数どまり 再発防止に壁

台風19号から1年。母親ら親族3人が亡くなり、1人が行方不明となっている実家跡地に設置された鎮魂の石碑に線香を手向け、冥福を祈る大槻恵太さん=宮城県丸森町で2020年10月12日午前11時41分、和田大典撮影

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 2019年の台風19号による避難生活で持病が悪化するなどして死亡し、自治体に「災害関連死」と認定された21人のうち11人の死因が公表されていない。各自治体は遺族の意向を非公表の理由とするが、専門家らが事例を分析して再発防止策を作る際の妨げになる可能性がある。識者らは、国が自治体から情報を集め、プライバシーに配慮して死亡の経緯や死因を公表すべきだとしている。台風19号は12日で上陸1年。

 毎日新聞のまとめでは、台風19号では12日現在、全国6都県の11市区町が計21人を関連死と認定している。都県別の内訳は、長野10人▽福島6人▽東京2人▽宮城、埼玉、静岡各1人。このうち東京、埼玉、長野、静岡4都県の5市区は死者の年齢・年代、性別、死亡時期、死因、死亡に至る経緯を公表している。例えば東京都世田谷区の場合、90代男性について「入院先が浸水し、転院した際の緊急搬送の負担が影響したとみられ、容体が急変して転院3日後に肺炎で死亡」と説明する。

 宮城、福島、長野3県の5市町は死因を公表していない。ほとんどがその理由を「遺族の意向」としている。5市町の一つ、福島県鏡石町の担当者は「町で関連死の認定は1人だけで、被害が出た地域も限定されていた。詳しく公表すれば、個人が特定される」としている。宮城県丸森町や長野県小布施町のように、死者の年代や性別を含めて一切の情報を非公表とした自治体もある。

 関連死の情報公開を巡っては、日本弁護士連合会が18年、個別事例の分析・公表を求める意見書を国に提出。大学や民間機関が効果的な災害対策を打ち出せるように、「国は事例を全国の自治体から集め、分析結果を匿名化して公表すべきだ」と求めている。こうした中、内閣府が関連死の事例集作りに着手した。20年度の完成を目指している。

 関連死に詳しい在間文康弁護士(第二東京弁護士会)は「遺族にとっても『家族の死は無駄ではなかった』と慰めになる場合もある。個人が特定できないよう、国が場所などを抽象化した上で、死因や詳しい状況を公表すべきだ」と話している。【黒川晋史、渡部直樹、島袋太輔】


 ■ことば

災害関連死

 洪水による溺死や土砂崩れによる窒息死といった直接死ではなく、避難生活に伴う持病の悪化や疲労、精神的ストレスなど間接的な原因で死亡したケースを指す。遺族の申請を受け、自治体の審査委員会が災害との因果関係を調査し、認定する。認定されれば、最大500万円の災害弔慰金が遺族に支給される。台風19号では認定済みの21人に加え、審査中が少なくとも9件ある。


 ■台風19号の災害関連死を認定した自治体と死因の公表状況(カッコ内は認定人数。各自治体の発表、取材による)

【公表】

福島県いわき市(4人)、埼玉県東松山市(1人)、東京都世田谷区(1人)、東京都稲城市(1人)、長野県飯山市(1人)、静岡市(1人)

【非公表】

宮城県丸森町(1人)、福島県須賀川市(1人)、福島県鏡石町(1人)、長野市※(8人)、長野県小布施町(1人)

※長野市はうち1人の死因は公表

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