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社説

核のごみ最終処分場 原発政策の見直しが前提

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 原発で核燃料を燃やした後には高レベル放射性廃棄物「核のごみ」が残る。そのごみを最終処分する場所の選定で動きがあった。

 北海道南西部の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が、今月に入り、選定手続きの第1段階である文献調査の受け入れを決めた。

 最終処分は地下の岩盤に埋める方式で行われ、処分場決定までに3段階の調査を経る必要がある。文献調査は最終受け入れを前提としているわけではないが、調査に応じるのは初のケースだ。

 こうした動きは、最終処分に対する国民の関心を高め、議論を活性化する点では意味がある。

 しかし、2町村や周辺自治体の住民の中には反対の声もある。北海道は2000年に制定した条例で「放射性廃棄物の持ち込みは受け入れがたい」と宣言している。

 住民の十分な納得が得られないまま調査に着手すれば、人々の間に不信が生まれる。丁寧な合意形成は欠かせない。

 政府は17年に、処分場建設に適合するかどうかを色分けで示した「科学的特性マップ」を公表している。それに照らすと神恵内村には適した地域はほとんどない。

 文献調査を受け入れた自治体には国から2年間で最大20億円の交付金が支払われる。2町村の受け入れの背景には、人口減少など苦しい事情があるのだろう。

 ただ、今回のケースに限らず、地域全体の合意がないまま、経済のために、調査や、ひいては最終処分場を受け入れざるを得ないという構図は望ましくない。

 処分場選定には、国の原発政策そのものも大きく関わる。

 再稼働を進めれば核のごみは増え続ける。ごみがどこまで増えるのかわからなければ、処分場を受け入れるかどうかの判断は難しくなる。

 事実上破綻している全量再処理・核燃料サイクル政策を国策として維持していることも障害となる。再処理するかしないかで核のごみの処分方法は変わる。見通しの立たない政策を前提に対応を続けても、国民の信頼は得られないだろう。

 処分場計画を進めるには、原発政策の抜本的見直しが大前提であるはずだ。それを抜きに、国が地方に判断を委ねるのは無責任だ。

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