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学術会議任命拒否

日本学術会議が推薦した新会員候補6人を菅首相(当時)が任命しませんでした。異例の事態の背景や問題点を追います。

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学術会議の「名簿見ず」 誰が6人を除外したのか

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 日本学術会議の会員候補のうち6人が任命されなかった問題で、菅義偉首相の発言に新たな批判が出ている。

 自分が決裁したのは99人の会員候補のリストであり、除外した6人を含む計105人の推薦者名簿は「見ていない」と毎日新聞などのインタビューで語った。6人を除外したのは自分ではなく、はじめから99人のリストだったと言いたかったのだろうか。

 確かに、首相の押印がある決裁文書は99人のリストだ。しかし、学術会議は105人の名簿を内閣府に提出している。

 首相が学術会議からの推薦者名簿を見ていないとすれば、「総合的、俯瞰(ふかん)的な活動を確保する観点から判断した」というこれまでの発言と矛盾する。

 首相は学術会議人事への介入を始めた安倍晋三前政権の中枢にいた。前首相から引き継ぎはなかったというのも不自然だ。

 では、6人を任命しないという判断を誰がしたのか。

 日本学術会議法は、会員を「会議の推薦に基づいて首相が任命する」と定めている。任命権は首相にしかない。

 名簿が首相に届くまでに、内閣府や内閣官房が削除したのであれば、会員候補を選考する学術会議の権利を損なうものだ。学術会議の推薦名簿に基づかずに首相が任命したのであれば、学術会議法に違反する可能性もある。

 加藤勝信官房長官はきのう、決裁文書には参考資料として105人の名簿も添付されていたが、首相は詳しく見ていなかったという意味だと説明した。

 資料を詳しく見ることなく、首相が言う「広い視野に立ってバランスの取れた活動」ができるのかを見極められるのだろうか。

 決裁までの間に、首相は今回の任命の考え方について説明を受けているので問題はない、との認識を加藤氏は示している。そうであるならば、どのような考え方が説明されたのか。

 政府の説明はつじつま合わせに終始しており、疑問が次々と生まれている。

 問題の核心はなぜ6人を任命しなかったのかだ。いつ、どんな理由で決まったのか。首相は国民に説明する責務がある。

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