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台風19号1年 津南中「タイムライン」作成 自主的避難、態勢着々と 事前に行動整理「防災、身近に」 /新潟

マイ・タイムライン作りに向け、ハザードマップで避難場所を確かめる生徒たち=新潟県津南町立津南中で8日、新井敦撮影2020年10月8日、新井敦撮影

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 東日本全域に甚大な被害をもたらした2019年の台風19号が県内を通過してから12日で1年がたった。県内では信濃川などの大河川だけでなく、住宅のすぐそばを流れる小規模河川も氾濫する“予想外”の事態が発生。県などはこの被害を受け、自主的な避難態勢づくりや河川監視を強化してきた。【井口彩、新井敦】

 台風19号で信濃川が氾濫し、住家13棟が浸水した津南町。被害が出たJR津南駅周辺から南東約1キロにある津南中学校で8日、水害に備える避難行動計画「マイ・タイムライン」づくりが始まった。1年生48人が計3回の授業で県土木部の職員から説明を受け、一人一人の計画作成に取り組む。

 マイ・タイムラインは、台風や豪雨時に備えて事前に自分の取るべき行動を整理し、時間の経過に合わせてまとめておくもの。2015年の関東・東北豪雨で多くの人が逃げ遅れたことを教訓に、全国各地で作成の取り組みが広がっている。個々の避難行動は家族構成や生活環境に応じて異なる。前もって整理しておくことで、いざという時にあわてずに避難できる。

 この日は初回の授業があり、洪水と土砂災害のハザードマップを調べ、浸水想定区域や土砂災害警戒区域、それぞれの自宅からの避難場所を確認した。残る2回の授業で、避難場所までの移動時間や逃げる際の注意点などを調べ、計画を完成させる。男子生徒(12)は「知らなかった避難場所をマップで確認できた。家族で話し合って準備できるようにしたい」と話した。

 担当の柿田凌教諭は「台風19号の被害を経験し『怖かった』と言う生徒もいる。マイ・タイムラインを作ることで、防災を自分に身近なこととして考える機会にしたい」と話す。

河川監視を強化

 台風19号では、避難情報を出す重要な根拠になる河川の監視態勢の問題が指摘された。

 原因の一つが、大河川から小規模な河川へと水が逆流する「バックウオーター現象」が起きたことだ。110棟以上が床上・床下浸水した長岡市今井地区では、信濃川から太田川、浄土川へと水が逆流して氾濫が起きた。信濃川のような大規模河川と異なり、浄土川は住宅地や田んぼの中を流れる用水路のような小さな川だったため、水位計や監視カメラが設置されておらず、氾濫の覚知が遅れたのだ。

 県はもともと今年の出水期までに、小規模河川を含む77カ所に水位計を設置する予定だったが、台風19号を受け、これを上回る84カ所に水位計を新設。さらに、これまでは県内に11基しかなかった川の状態を映す監視カメラも123カ所新たに増やした。浄土川でも、もともと上流の2カ所に設置する予定だったが、新たに氾濫が起きた下流の1カ所にも増やした。また監視カメラも1基新設した。

 従来の水位計やカメラは高価で、大河川でも住家などが密集する場所にしか設置できなかったが、国が導入を進める安価な「危機管理型」の機器を多く配置し、県のホームページ上で、きめ細かく川の危険度を確認できるようになったという。長岡市河川港湾課の担当者は「県が管理する河川であっても、避難の判断をするためにこれまでは市職員が手作業で水位を計測していた。特に夜間は危険だったので、カメラや水位計が増えるのはありがたいことだ」と話す。

危険判断各自で

 一方、県や自治体が懸念するのが、「たとえ避難情報を出せても、一人残らず避難できるか」という課題だ。

 県は台風19号を受け、20年度当初予算で「豪雨時の主体的な避難行動支援事業」に5600万円を盛った。小規模な河川の浸水想定区域図を新たに作成するほか、津南中が取り組んでいる個人の防災行動計画「マイ・タイムライン」を作成するための学校向け教材を独自に開発した。

 県河川管理課の坂井亨参事(工学博士)は「かつての新潟は農家が多く、水害時の対応もある程度『慣れっこ』なところがあったが、都市化が進み、危険の度合いを各自で判断しなければならなくなっている」と指摘。河川工事などのインフラ対策は2~3年の間で行われることが多く、それまでに大規模な水害が起きる可能性もある。「ハード面の対策にはどうしても時間がかかるが、そうした中でも我が事として避難行動に移さなければならない。そのきっかけになるような情報・支援を県としてしっかり行っていく必要がある」と語った。


 ■ことば

台風19号

 10月12~13日に東日本を通過し各地で記録的豪雨をもたらした。県内では上越、妙高、糸魚川の各市で県内初の大雨特別警報が発表された。数え方が違うため合算できないが、県・市町村管理河川の241カ所、国管理河川の30カ所で決壊などの被害があった。5人が重軽傷、住家363棟が浸水などの被害を受けた。市町村別では多い順に、長岡市148棟▽上越市120棟▽阿賀町35棟。

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