特集

学術会議任命拒否

日本学術会議が推薦した新会員候補6人を菅首相が任命しなかった。極めて異例の事態の背景や問題点を追います。

特集一覧

記者の目

日本学術会議新会員の任命拒否 学問への敬意欠く蛮行=大井浩一(東京学芸部)

  • コメント
  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
新会員の任命拒否問題に揺れる日本学術会議=東京都港区で2020年10月1日、岩崎歩撮影
新会員の任命拒否問題に揺れる日本学術会議=東京都港区で2020年10月1日、岩崎歩撮影

 私はあまり政治的な人間でない。新しいものは警戒し、極端なもの、威勢の良すぎるものが嫌いだ。保守的かもしれない。ただ芸術や学問を大切に思い、好みや考え方の違いはあっても、個人が自由に思索し、表現できる世の中であってほしいと願っている。

地味な組織への政治介入不可解

 こういうのんきな人間もギョッとした。日本学術会議が新会員に推薦した105人のうち、6人が菅義偉首相から任命を拒否されたという。6人はいずれも人文・社会科学系の研究者だ。二十数年、論壇と文芸を取材してきた私には、面識のある人もいた。報道では政府の政策に批判的な人たちとされるが、今の日本で国が排除するほどの危険思想を持つ学者などいるのか、と違和感を覚えた。私の知る人は業績も見識もある研究者で、極端な主張は聞いたことがない。報道で接する他の人々の意見も、東西冷戦期の左翼と比べれば穏当なものだ。

 「任命拒否」が報じられた直後、何人かの信頼する学者に意見を聞いた。多くが60~70代の重鎮で、左派ではない。「反対意見に耳を傾けるという民主主義の根本が分かっていない」「どう見ても困ったことだ」という反応の一方、「とんでもないと思うが、これで学問の自由が奪われるというような大層な話ではない」とたしなめる人もいた。

この記事は有料記事です。

残り1388文字(全文1924文字)

【学術会議任命拒否】

時系列で見る

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

次に読みたい

あわせて読みたい

注目の特集