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第70期王将戦リーグ特選譜

羽生九段が終盤、勝利を呼び込む指し回し 佐藤九段の優勢を逆転し連勝

羽生善治九段(左)と佐藤天彦九段=それぞれ過去の対局で撮影した写真を組み合わせています

 公式戦通算2086局目の羽生善治九段。長年、第一人者として活躍しているので、ほとんどの棋士に対して勝ち越しているのは当然だが、20局以上対局した棋士26人の中でただ一人負け越しているのが佐藤天彦九段だ。

 通算、佐藤天の13勝9敗。羽生と森内俊之九段が14年にわたって名人の座に君臨した名人戦の歴史で、2016年に羽生に挑戦して名人位を奪取し、世代交代の流れを作った佐藤天。18年にも羽生を挑戦者に迎えて再び勝利し、名人3連覇を飾った。昨年、名人を失ったが、今期のA級順位戦で7月28日に対戦し、佐藤が勝利している。【山村英樹】=▲が先手、△が後手

 王将戦リーグはここまで2連敗だが、初白星を挙げると一気に混戦に加わってきそうだ。前局(11日)から中2日で再びリーグ戦に臨む。

 羽生は9月22日に藤井聡太王位を降して以来、20日以上間が空いての2戦目になる。

<第70期大阪王将杯王将戦リーグ3回戦>

2020年10月14日

持ち時間各4時間

場所・将棋会館

▲羽生善治九段(1勝)

△佐藤天彦九段(2敗)

▲2六歩  △8四歩  ▲2五歩  △8五歩

▲7六歩  △3二金  ▲7七角  △3四歩

▲6八銀  △7七角成 ▲同 銀  △2二銀

▲4八銀  △6二銀  ▲1六歩  △1四歩

▲2四歩  △同 歩  ▲同 飛  △3三角

▲3四飛  △4二玉1 ▲3九金1 △8六歩14

▲5六角2 △7四歩50 ▲8六歩  △7五歩2

▲7八金30 △7六歩3 ▲6六銀  △8六飛12

▲8七歩12 △8五飛24 ▲7四飛18 △8八歩11

▲同 金16 △6四歩1 ▲同 飛14 △5二金19

▲7四角5 △8二飛15 ▲5八玉4 △2三銀5

▲7八金20 △5四歩20 ▲7二歩15 △6三歩5

▲6五飛2 △8四飛7 ▲7五飛1 △6六角9

▲同 歩1 △7七歩成2▲同 飛25 △7四飛

▲同 飛  △8五角  ▲7六飛打 △7三銀1

▲7五飛引 △9四角  ▲6七角4 △8四銀6

▲3五飛3 △2四銀6 ▲3二飛成12△同 玉

▲7四飛  △6七角成1▲同 金  △4五角8(第1図)

 佐藤天が羽生に対して好成績なのは、受けを主体にバランス感覚がよく感覚が鋭い棋風が、羽生に対して効果的だったことが挙げられる。しかし、その佐藤天も従来のフォームを変えて対応しなければと思っているだろう。

 羽生は豊島将之竜王に挑戦する竜王戦七番勝負の開幕を迎え、初戦は敗退した。タイトル獲得数100期がかかる七番勝負だが、好スタートを切った王将戦でも挑戦の機会をうかがう。竜王戦と並行しての戦いは厳しい面もあるが、緊張が続くのは将棋にプラスに働きそうだ。

 羽生の先手番で角換わり戦の出だしになったが、羽生が3四飛と横歩を取って横歩取りともいえる進行になった。羽生が▲3九金の一手で右辺を補強し、飛と角を積極的に活用したのが本局の工夫だった。本局は終盤戦の最後まで桂香が動かず、金銀もほとんど前線に出てこない変わった進行になったが、一手間違うと奈落の底のような派手な展開のうちに残り時間が少なくなっていく。

 羽生は▲7二歩を「▲3六歩が本筋だった」と局後に述べた。飛角が4段目に並んでいる形なので、常に△7三銀の飛角両取りに気をつけなくてはならないが、当面は▲5二角成△同玉▲6三金で対応できる。

 その後の検討は「しょうがない」「これもしょうがない」とどんどん進んだ。途中△8五角の王手飛車取りがかかるなど激しい局面もあったにもかかわらずだ。しかし、△4五角(第1図)が感触のいい手で、形勢不明のように見えた。

 第1図以下の指し手

▲5六歩12 △8八飛  ▲6八金打5△7三銀1

▲7九飛2 △8七飛成 ▲7一歩成 △8八竜

▲7五飛9 △2七角成 ▲2八歩  △2六馬

▲8一と  △7四歩  ▲7八飛  △8九竜

▲9一と1 △6二馬3 ▲6五桂4(第2図)

 羽生は▲5六歩と角筋を止めて受けたが、強く▲8四飛と銀を取る手があった。「これをやるしかなかったか」と羽生。以下△6九銀▲同玉△6七角成▲6八金△8九馬▲5四飛△4二金に▲5八玉と早逃げして先手有…

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山村英樹

1981年入社。青森支局を経て1986年から東京学芸部で囲碁将棋などを担当。

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