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恋ふらむ鳥は

/127 澤田瞳子 画 村田涼平

「お気遣いありがとうございます。ですが、わたくしはそろそろお暇(いとま)せねばなりません」

「そうか。それは残念じゃのう」

 心底無念そうな智祥(ちしょう)に一礼し、額田(ぬかた)はあえて知尊(ちそん)の顔は見ぬまま、四天王寺を辞した。

 賑(にぎ)やかな難波大道まで歩み出てから仰いだ空に、先ほどまでの薄雲はすでにない。かわって西の空に大きな黒雲が湧いているのは、どうやら嵐の前触れのようだ。

 急に湿気を孕(はら)んだ風が足元の土を捲(ま)き上げる。難波宮へと急(せ)きながら、額田は刻々と大きくなる雲を見据えた。額田の眼にもはっきりと分かるその暗さが、今は不思議と心地よかった。

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