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社説

少子化対策と菅政権 産み育てる環境整備こそ

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 少子化対策として不妊治療に保険を適用する方針を、菅義偉首相が打ち出した。

 全国で生まれる子どもの16人に1人は、不妊治療の体外受精で誕生している。

 不妊治療には一部をのぞき公的医療保険が適用されていない。費用は1回数十万円かかる。適用は、負担の重さを訴える当事者団体の要望に応えるものだ。

 ただ、少子化対策では不妊治療にとどまらず、幅広く産み育てる環境の整備が欠かせない。

 2019年の出生率は1・36で、4年連続で低下している。希望通りに子どもを持てない事情はそれぞれ異なる。

 最大の課題は経済的な負担を軽減することだ。国立研究所の調査では、夫婦が理想とする数の子どもを持たない理由は「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が最も多かった。

 政府は今年5月に改定した少子化社会対策大綱で、高等教育無償化の対象を中所得層にも広げることや、現在は中学生までに支給が限られている児童手当の拡充を検討する方針を示した。財源確保を含め議論すべきだ。

 共働き家庭への支援も欠かせない。保育所の待機児童は1万人を超える。入所希望者が多い地域を見極め、重点的に施設整備を進めていく必要がある。

 男性の育児休業取得が進まないことにも問題がある。制度上、休業できる期間は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でトップクラスだが、実際には取得者は少ない。企業が従業員に利用を促す仕組みが求められる。

 不安定な雇用を背景に未婚化の広がりが深刻だ。特に若い男性の非正規労働者は、正規雇用に比べ未婚率が高い。将来の展望を描きにくいのだろう。安定した雇用に移れるよう支援を強化すべきだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、妊娠や婚姻が減少する可能性も指摘されている。どのような影響が出るのか、動向を迅速に把握することも必要となる。

 内閣府の18年の調査では「結婚や子育てなどに温かい社会の実現に向かっている」と回答した人は約3割にとどまる。政府には、子育てしやすい社会を実現する責任がある。

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