「やりがい感じた」「社会基盤支えたい」 それでも若手・中堅が退職してゆく背景は 厚労官僚座談会(上)

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
厚生労働省が開設している「年次有給休暇取得促進特設サイト」=同省ホームページから
厚生労働省が開設している「年次有給休暇取得促進特設サイト」=同省ホームページから

 新型コロナウイルス対策で多忙を極める厚生労働省で、中堅・若手官僚の退職が後を絶たない。職員が自虐的に「強制労働省」とやゆするほど職場での働き方は過酷だ。10月は年次有給休暇取得促進期間。国民に向けて「よい休み方」を啓発する厚労省の庁舎内で何が起きているのか。いわゆる「中の人」や、辞めた人が訴えるのは――。【聞き手・阿部亮介】

 ――まずは、自己紹介をお願いします。

 ◆A いわゆるキャリア採用で入省し、今は30代です。厚生や労働など幅広い部署に配属され、最近、退職しました。今は、民間で厚生労働分野に関連する業務に就いています。詳細にお話しできなくてすみません。

 ◆B 私も匿名でお願いします。まだ20代です。現役の厚労官僚です。

 ◆千正康裕 2001年に厚労省に入省し、社会保障や労働分野の法律改正や秘書官、インド大使館勤務などを経験してきました。昨年9月末で退官し、これまでの経験を生かし、今は医療介護福祉分野のコンサルや政策提言、企業のインド進出支援、執筆活動を行う会社を立ち上げました。私は実名で問題ありません。

入省時の志「劣悪な労働環境を変えたい」

 ――なぜ、厚労省に入省したのですか。

 ◆A 大学の同期は、商社など大手企業に就職しましたが、そのまま民間企業に行くのには違和感を覚えていました。当時、過労死や過労自殺が社会問題になっていたのもあり、劣悪な労働環境を変えられるのは厚労省だと思い、志望しました。

 ◆B 私は11年の東日本大震災で現地にボランティアに行き、将来は人のためになる仕事をしたいと思い、公の仕事を志望しました。特に少子高齢化という課題があり、厚労省の仕事はとても重要だと考えました。

 ◆千正 子どもの頃からガキ大将だったり、学級委員長や部活のキャプテンを任されたり、みんながどうやったらうまくいくのかということを考えるのが自然でした。24時間365日、社会のことを考えているのが許される国家公務員を選びました。とりわけ、どんな人にも必要な生活の基盤を支えたいと思い、厚労省に入りました。

仕事にやりがい、でも「タコ部屋」に寝泊まりも

 ――入省してみて、厚労省の仕事や働き方はどうでしたか。

 ◆A 正直、仕事にはやりがいはありましたね。霞が関で働くなら厚労省が一番だと思いました。全国各地にある民間施設を訪ね、そこで現場の人の話を聞いて、共通の課題を見つけ、政策を立案する仕事にはやりがいがありました。観光を兼ね、半分プライベートで視察することもありましたが、現場が大事だと思っていたので苦になりませんでしたね。

 一方で、働き続…

この記事は有料記事です。

残り2264文字(全文3343文字)

あわせて読みたい

ニュース特集