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加藤陽子の近代史の扉

学術会議「6人除外」 「人文・社会」統制へ触手

 発足直後の世論調査で6~7割超の支持を得た菅義偉内閣。行政改革やデジタル庁など重要案件が待つ今、なぜわざわざ、日本学術会議の新会員候補名簿から6人を除外して決裁するという批判を浴びるまねをしたのか。目的と手段の点で整合的ではなく見え、政治分析の玄人筋も首をひねる事態となった。

 少し回り道をしよう。今の大学は、高校生向けの出張講義に熱心だ。先日、ある県立高の2年生に向けたオンライン講義で、歴史学は何をする学問かについて話をした。まず、英国の歴史哲学者コリングウッドの定義では、こう説明される。「歴史の闇に埋没した『作者の問い』を発掘すること」だと。換言すれば、歴史上一定の時代に現れたり創られたりした制度・組織・論理が、なぜその時代に現れるのかを考える態度となる。制度や組織を創り出した「作者」の思索の跡をたどるのが歴史学の役割ということになろう。

 こう述べた後、一つの問いを考えてもらった。1889年6月、枢密院議長・伊藤博文は、歴代天皇の陵墓で場所が未確定のもの、例えば安徳天皇陵がどの墓かを治定しようとした。伊藤は、何を考えてそのようなことをしたか。答えは意外な方向からくる。伊藤は、予想される不平等条約の改正にあたって、外国の信頼を得るため、皇統の確からしさが必要と考えていた。陵墓確定という「作者」の問いは、意外にも条約改正と結びついてい…

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