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G20とコロナ不況 米中は大国の責任自覚を

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 新型コロナウイルスの影響で大幅に悪化した世界経済の立て直しを巡り、日米中など主要20カ国・地域(G20)の足並みがそろわない。カギを握る米中が自国の利益を優先しているからだ。

 まず課題となっているのは、アフリカなどの貧困国が抱える多額の借金への対応だ。G20財務相らの会合で話し合われた。

 景気低迷で返済の負担は重い。無理な返済は貧困国の医療を圧迫し、感染を急拡大させる恐れがある。返せない国が相次ぐと、金融不安が世界に広がりかねない。

 G20は既に実施している返済猶予を延長すると決めた。借金の削減も検討する。貧困国の負担軽減に手立てを尽くす必要がある。

 問題は、多くを貸し付けている中国が、G20としての合意には加わったものの、実際は後ろ向きなことだ。日米欧が猶予しても、浮いたお金が中国への返済に回ってしまうと、意味はなくなる。

 中国は貧困国向け融資を拡大し国際的な影響力を強めてきた。コロナ禍でも自国の経済は早期に回復したと強調するのなら、貧困国支援にも進んで取り組むべきだ。

 巨大な情報技術(IT)企業への課税を強化する新たな国際ルールについては、G20は目標としていた年内合意を断念した。IT企業が集中する米国が反発した。

 IT企業は世界中で巨額の利益を得ているのに、米国以外で払う税金は極めて少ない。不公平の解消に加え、コロナ禍で新ルール導入を急ぐ必要性が高まっている。

 大型の経済対策で各国の財政は悪化している。一方、オンライン会合や通販の活発化でIT企業の業績は好調だ。国民生活を守るための負担をIT企業に求めるのは理にかなっている。

 G20財務相らは声明で「世界経済は大きなリスクにさらされている」と警戒感を示した。欧州などでの感染再拡大を踏まえると、当然の判断だろう。景気下支えで緊密な連携が求められている。

 体制の異なる国が集まるG20は合意形成が難しい。米中が激しく対立する現状ではなおさらだ。

 だが米中は大国として世界経済の安定に責任を負う。大恐慌以来という不況だけに役割は重い。立場を自覚し、来月開かれるG20首脳会議に向けて歩み寄るべきだ。

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