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学術会議任命拒否

日本学術会議が推薦した新会員候補6人を菅首相が任命しなかった。極めて異例の事態の背景や問題点を追います。

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新内閣発足1カ月 菅政治の実像見えてきた

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 菅義偉内閣が発足して、きのうで1カ月が経過した。

 首相指名選挙直後に国会は閉会し、菅首相はまだ所信表明演説もしていない。

 新内閣として異例の状況が続く中、首相は「デジタル庁」の設置など具体策を次々と打ち出してきた。「たたき上げ」というイメージもプラスに働き、発足当初、世論が好感したのは事実だ。

 しかし、ここにきて風向きが変わりつつある。

 実際、直近のNHKの世論調査(9~11日)では、内閣支持率は55%で、先月から7ポイント低下している。大きな要因は、やはり日本学術会議の会員候補のうち6人が任命されなかった問題だろう。

 この点も含めて、「菅政治」の実像が次第に見えてきた1カ月だったと言っていい。

 特徴の一つは「実利優先」の姿勢だ。典型的なのが携帯電話料金の値下げである。

 利用者にとって値下げは減税と同じ効果があり、国民から歓迎される。首相はそんな政治的効果も狙っているに違いない。

 新型コロナウイルス対策では、「Go Toキャンペーン」事業を主導して経済回復優先にカジを切った。これも経済の「実利」を重視しているからだと思われる。

 一方、強引さがあらわになったのが日本学術会議の一件だ。政府方針に異を唱えた学者を排除したとすれば、人事を武器に官僚を統制している手法と同じだ。

 ところが、なぜ6人を任命しなかったのか、肝心な点は明らかにされていない。

 首相はきのう、学術会議の梶田隆章会長と面会したものの、拒んだ理由については明確に語らなかったという。

 首相らが説明するたびに新たな疑問が出てきているのが現状だ。そもそも首相はこれほど大きな問題になるとは思っていなかったのではないかと疑う。

 歴代の自民党政権は、権力は抑制的に行使すべきだという考え方が主流だった。安倍晋三前首相と同様、菅首相は権力の使い方が乱暴で安易だと言うほかない。

 首相が目指す国家像や外交方針もいまだに明確でない。26日召集予定の臨時国会では、菅政治が厳しく問われることになる。

【学術会議任命拒否】

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