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滝野隆浩の掃苔記

彼女の人生について

 <滝野隆浩の掃苔記(そうたいき)>

 孤立死の現場に入る時は緊張する。何度経験しても慣れることはない。現場の凄惨(せいさん)さもさることながら、亡くなったその人の人生に触れる心持

ちになるから。

 その日、首都圏では抜けるような秋空が広がっていた。感染症予防のキャップとマスク、ビニール雨具をつけて、福祉の職員と一軒家に入る。玄関先にまず、ちゃぶ台が持ち出されていた。食べかけのレトルトのお米が茶わんと皿に半分ずつ残っている。急須とコーヒーカップ。端のほうにお菓子の袋もあった。

 60代後半の女性は、入ってすぐの6畳間にあったちゃぶ台付近で亡くなっていたという。黒いシミが畳に広がり、髪の毛も大量に残っていた。夏の盛りに発見され、40日以上たっていた。それでも、マスクを通してあの何ともいえない臭いがした。

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