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周囲と違う自分、悩んだ日々 性的少数者、衝突繰り返した母との和解 大分・竹田

SOGIEサポートチームココカラ!共同代表を務める奥さん=大分県竹田市「みんなのいえカラフル」で2020年10月13日午後2時11分、河慧琳撮影

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 「自分が理解できない存在は、違う世界の住人みたいで怖いかもしれない。でも、お互いを知ろうと歩み寄れば、同じ世界に生きる人だと気づけるはずです」。性的少数者の一人、奥結香さん(32)=大分県竹田市=は、ほがらかに笑った。【河慧琳】

 自分が人と違うと感じたのは、中学1年の時だった。友達が男子の恋愛話に興じる中で、初恋の相手は親友の女子だった。

 控えめでまっすぐで優しい性格の彼女を見ていると、胸がドキドキした。毎日一緒にいたいと思った。「どうして自分は彼女が好きなんだろう。女の子を好きになるなんて普通じゃない」。世の中の常識と自分の正直な気持ちが異なることに、自己嫌悪に陥った。思いを告げることなどできなかった。

 高校に進学後、女性の先輩と交際を始めた。憧れの先輩だった。放課後、2人で帰宅している時に先輩も好意を抱いていたと知り、付き合うことになった。

 多幸感に舞い上がっていた。だが、先輩はシビアに現実を見つめていた。「将来、結婚もできないし、子供も産めない。それに私は男の子も気になる。ずっと女の子と付き合うのは変だよ」。結局、交際期間は1年ちょっとだった。後に先輩は男性と結婚した。

 周囲に理解者はいなかった。女性を好きな事実を知った母親は「病院に行こう」と手を引いた。なぜ好きな相手が同性であることを認めてくれないのか。お互いの思いを押し付け合い、泣きながらけんかすることもあった。だが、真剣な思いをぶつければ、ぶつけるほど、互いの溝は深まった。こんなにも理解されないならいっそのこと縁を切ろうとも思い詰めた。

 一方で、異性を好きになれない自分はおかしいのではないかと迷いもした。20歳のころには男性とも付き合った。しかし、恋愛感情は芽生えなかった。

 好きでもない相手と付き合い、うそを重ねることがつらくなった時、インターネットのコミュニティーサイトを通じて、性的少数者の存在を知った。「情報も話す相手もいなくてまっ暗闇の中にいる感覚だったけど、私は一人じゃない」。初めて安堵(あんど)した。

 県内にそうした性的少数者のための交流の場がないと感じた奥さんは2013年、自身でも当事者コミュニティーサークルを立ちあげ、交流会を開催するようになった。

 転機が訪れたのは16年2月。母と和解したのだ。自分が性的少数者であることを公表したら迷惑になるのでは、と母に相談すると母は「あなたがつらい気持ちにならないならいいよ」と背中を押してくれた。以前だったら考えられない言葉に、「一番認めてもらいたい人に初めて認めてもらえた」と力が湧いた。今では、母と奥さんのパートナーと3人で遊びに行くほど仲が良くなった。

 世間は少しずつ性的少数者への理解を広げているが、それでも奥さんはまだ先は遠いと考えている。「身長や出身地、好きな食べ物がみんな違うように、私たちは一人一人違うセクシュアリティーを持ち、多様な社会の中を生きている。いつの日か、性的少数者やレズビアンなどと線引きされる日がなくなってほしい」。

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