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余録

取り越し苦労をいう「杞憂」が…

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 取り越し苦労をいう「杞憂(きゆう)」が、天の崩れ落ちるのを気に病んだ杞の国の人に由来するのはご存じだろう。この杞人、天だけでなく地が崩落するのも心配した。天は落ちないとさとした人は地も大丈夫と説いた▲「大地は大きな土のかたまりで、四方の果てまでいっぱいにふさいでいます。壊れるのを心配する必要など少しもありません」。これを聞いた杞人は喜び、さとした人自身もすっかり安心したという。だが、本当に安心なのだろうか▲こう問えば、4年前の博多駅前の市街地大陥没をはじめ、内外の地盤陥没の数々が思い浮かぶ。実は地下は土塊でふさがれているとは限らない。自然現象や人為によって生まれた地下の空洞が、思わぬ地盤の崩壊をもたらすのである▲東京の調布市の住宅地で起きた道路陥没は長さ5メートル、幅2・5メートル、深さ5メートルと、そう大規模ではない。注目されたのは、そこから40メートル以上の地下で東京外環自動車道のトンネル工事が行われていたからである。工事は一時中止された▲陥没と工事の関係はまだ不明だが、一般的には地下深くの空洞も天井が次々に崩落して地表に及ぶことがある。また下水道などの埋設インフラの老朽化や、温暖化による豪雨が招く出水も、都市の地下の空洞化のリスクを高めている▲いきなり地面の崩れる恐怖は、「身の寄るところがなくなる」のを恐れた杞人と変わりがなかろう。地中深くの工事やインフラ老朽化、気候変動まで加わった現代の都市は杞の国ほど安全とは限らない。

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