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2が12個並ぶ瞬間、東アジアの不戦宣言を 戦前生まれ長老たちの思い

インタビューに応じる西原春夫・元早稲田大総長=東京都新宿区で2020年10月7日午後4時59分、金志尚撮影

 2022年2月22日22時22分22秒、東アジアの首脳らが「不戦」の共同宣言を発表――。作家の瀬戸内寂聴さん(98)やイオン名誉会長の岡田卓也さん(95)、元官房副長官の石原信雄さん(93)ら各界を代表する戦前生まれの約20人が今夏、そんな提言を公表した。戦後75年を迎え、先の大戦の記憶が薄れる一方、近年は日韓関係の泥沼化、北朝鮮のミサイル発射、エスカレートする中国の海洋進出……と、東アジア情勢は緊張の度合いを高めている。「今こそ対立を『超克』する視点が必要だ」。長老たちが提言に込めた思いを取材した。【金志尚/統合デジタル取材センター】

多士済々 あの長老たちの声

 そうそうたるメンバーである。小売業界でしのぎを削ってきたライバル、イオン名誉会長の岡田さんと、イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さん(96)が名を連ねていることにまず驚かされる。文化界では、茶道裏千家大宗匠の千玄室さん(97)、狂言師の野村萬さん(90)、作家の平岩弓枝さん(88)、登山家の三浦雄一郎さん(88)と、多彩な顔ぶれが並ぶ。さらに、元国連事務次長の明石康さん(89)や、元東京大学長・元文相の有馬朗人さん(90)、元NHK会長の海老沢勝二さん(86)といった重鎮もいる。98歳の瀬戸内さんを筆頭に、「最年少」の海老沢さんでも86歳。いずれも戦後社会を支えてきた各界の長老たちだ。

 呼びかけたのは、元早稲田大総長の西原春夫さん(92)だ。刑法学者であり、この方の教科書で学んだかつての法学青年も多いだろう。中国との学術交流にも長年取り組み、現在も一般財団法人アジア平和貢献センターの理事長を務めている。その西原さんが、終戦時に10代以上だった有志に声をかけ、応じたのがジャンルも多様な上記のメンバーだった。一体どのような思いで提言に至ったのか。西原さんにじっくり聞いた。

戦争を知る、最後の世代

 ――提言者は、全員が戦前生まれの方々です。

 ◆去年の時点で全員85歳以上の人たちに呼びかけました。元首相の福田康夫さんなど、それより若い世代で賛同していただいた方はたくさんいますが、あえてこの年齢にさせてもらいました。この世代は、日本の戦争時代を知っている、いわば最後の世代です。提言は「長老」が呼びかけるという形にしたかったのです。

 あらゆる対立を超えて人類全体の連帯を図り、人類絶滅の危機を回避するよう努力する。そして、少なくともまず東アジアを戦争のない地域にする。提言したのは、東アジアの首脳たちがこの二つを共同で宣言することです。共同が難しければ、個別・同時でも構いません。「2022年2月22日22時22分22秒」と決めたのは、2が12個並び、覚えやすいからです。まずは東アジアでの宣言を目指しますが、他の地域でも可能であれば同様の宣言を出してもらいたいと思っています。

 ――なぜこのような提言を?

 ◆冷戦終結後にグローバル化が進み、国という枠組みが段々と溶けていく流れの一方で、それに反発する動きも生まれました。それが表れたのが、英国の欧州連合(EU…

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