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岡崎 武志・評『何はなくとも三木のり平』『恥ずかしい人たち』ほか

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今週の新刊

◆『何はなくとも三木のり平』三木のり平・著(青土社/税別2600円)

 三木のり平(1923~99年)は誰もが知る喜劇役者だが、その偉大さは伝わりにくい。しかし、同業者は芸達者と「天才」を称賛する。そのことを一番よく知るのが息子の小林のり一だ。

 編者で聞き書きの相手に戸田学を得て「父の背中越しに見た戦後東京喜劇」(副題)を語る『何はなくとも三木のり平』が出た。ものごころつく頃から父の舞台を見て育つ。榎本健一、森繁久彌、有島一郎などと共演。三木の絶頂期は東京喜劇の黄金時代だった。 多方面で活躍した三木だが、本書は舞台を中心とするのが特徴か。アチャラカ誕生の「最後の伝令」「雲の上団五郎一座」などは伝説となった作品。共演者が舞台袖に集まるほど爆笑を呼んだ。榎本健一が相手の時「お客さんよりもエノケンさんを笑わせる方に情熱を注ぐ」と息子は証言する。

 戸田は小林の証言を、膨大な資料を引用して補強。東京喜劇図書館とも言える充実ぶりと、多数の写真図版に拍手を贈りたい。

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