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第70期王将戦リーグ特選譜

離れかけた勝利を引き戻した永瀬王座の好手とは? 木村九段「ひどい手」ではないはずが…

永瀬拓矢王座(左)と木村一基九段=それぞれ過去に撮影した別々の対局時の写真を組み合わせています

 本局は2回戦最後の対局。永瀬拓矢王座が指していた王座戦五番勝負がフルセットになった影響もあって3回戦の対局も始まっている中の2回戦となった。

 永瀬は自身の開幕局で佐藤天彦九段に勝ち、白星スタートを切った。その3日後に行われた王座戦第5局で、挑戦者の久保利明九段を破り、初防衛を果たすと同時に九段昇段を決めた。しばらくは王将戦リーグと、6戦全勝で首位を走るB級1組順位戦に注目だが、棋王戦でもベスト4に進出して渡辺明棋王(王将・名人)に挑戦の可能性も出てきている。今年度の下半期も中心的存在になるかもしれない勢いがある。【山村英樹】=▲が先手、△が後手

 木村一基九段は初戦で豊島将之竜王に敗れ黒星発進となった。8月に王位は失冠したものの、そう調子は悪くなさそうだ。前日の棋王戦でもベスト8に進み、23日に広瀬章人八段とベスト4進出をかけて戦う。勝てば次の対戦相手は永瀬。王将戦リーグに参加している棋士は皆、各棋戦で忙しい。

<第70期大阪王将杯王将戦リーグ2回戦>

2020年10月20日

持ち時間各4時間

場所・将棋会館

▲永瀬拓矢王座(1勝)

△木村一基九段(1敗)

▲2六歩  △8四歩  ▲2五歩  △8五歩

▲7八金  △3二金  ▲3八銀  △7二銀1

▲9六歩  △1四歩3 ▲3六歩  △8六歩2

▲同 歩  △同 飛  ▲5八玉  △8二飛7

▲8七歩  △6四歩2 ▲2四歩  △同 歩

▲同 飛2 △6三銀3 ▲3五歩  △2三歩1

▲2六飛  △4二銀1 ▲7六歩8 △5四歩3

▲3七銀2 △5三銀4 ▲3六銀3 △4四銀38

▲4八金20(第1図)

 この日は豊島叡王の就位式が都内で行われ、協賛各社から豊島に数々の記念品が贈られた。一方で、今期(第5期)限りでドワンゴが主催を降りることが発表された。第6期の開催はすでに日本将棋連盟から発表されているが、主催については29日に発表される。

 ドワンゴは棋士とコンピューターソフトが対戦する電王戦を創設し、その勝負が終わった後は、ソフトと対決する棋士を決める叡王戦をタイトル戦に昇格させ、第3期から3年間主催してきた。第3期の七番勝負対局者だった高見泰地七段と金井恒太六段は、偶然にもこの日将棋会館でC級1組順位戦を戦っていた。また、第4期で高見を破って初タイトルとなる叡王を獲得した永瀬は本局を対局。永瀬は今年行われた第5期で豊島に3勝4敗2持将棋で敗れ、2冠の一角は崩れたが、その「負けない将棋」で第9局まで大いに盛り上げた。

 本局は相掛かりの序盤戦が進む。後手の木村は角道を開けないまま、第1図が最初の分岐点になった。

 第1図以下の指し手

△1三角2 ▲3七桂  △3五銀19 ▲同 銀

△同 角  ▲2九飛  △5二飛5 ▲5六歩27

△1五歩27 ▲6八銀6 △1六歩10 ▲3四歩42

△5五歩1 ▲同 角15 △4四銀3 ▲6六角7

△3四歩20 ▲3六歩3(第2図)

 角道を開けずに指し進めてきた木村の狙いは△1三角と端に活用することだった。しかし、局後の検討では「そんなに急ぐ必要はなかったが、代わる手段が難しかった」と一言。しかし、一通り検討を終えて最後に「もう一つだけ」といった感じで局面が戻され、第1図で△7四銀や△5五歩も念入りに検討された。△7四銀に①▲9七角は△3一角、②▲6八銀は△8五銀で、多くの変化があり、月並みながら「これも1局」といった感じだった。本譜△1三角は△3五銀から銀交換となって△5二飛と活用し、「そんなひどい手ではなさそう」(木村)と、ある程度手ごたえがあったようだ。

 ここで▲5六歩に「仰天した」と木村。飛が回ったばかりの5筋の応手だったからだ。永瀬は小声で「何か争点を作らなくてはと思って」とポツリ。木村は直…

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山村英樹

1981年入社。青森支局を経て1986年から東京学芸部で囲碁将棋などを担当。

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