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米中韓で実績・世田谷区のPCR検査法導入に国の壁 プール方式、実現遠く

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インタビューに答える保坂展人・世田谷区長=東京都世田谷区で2020年10月16日、大西岳彦撮影
インタビューに答える保坂展人・世田谷区長=東京都世田谷区で2020年10月16日、大西岳彦撮影

 新型コロナウイルスの「第2波」に見舞われていた今夏、東京都世田谷区の保坂展人区長(64)が打ち出した「プール方式」のPCR検査が現在も実現していない。「いつでも、どこでも、何度でも」を合言葉に検査数を大幅に増やそうとしたが、手法が国に認められなかったことが響いた。自治体が独自の検査をする難しさとは――。

「検査のハードル低くする」

 「PCRの検査のハードルを低くする。もしくはなくしていく。アメリカのニューヨークでやってるような、『いつでも、どこでも、何度でも』ということを最終的には目指していくべきだ」。8月4日、保坂氏は日本記者クラブでの記者会見でこう述べ、初めて公式に「世田谷モデル」の構想を明らかにした。

 構想は、①複数の検体をまとめて検査する「プール方式」を使い、当時は1日200~300件だった区内の検査件数を1桁増やす②医療や介護などの従事者に「社会的検査」(社会機能を維持するための検査)を定期的に実施する――が柱。無症状者への幅広い検査で感染者をあぶり出し、施設が発火点になる“感染爆発”を防ぐのが狙いだ。

 人口約92万人で都内最多の同区は、国内流行が「第1波」だった4月に感染者数も最多になった。その後も、大きな繁華街がある新宿区に次ぐ感染者が確認され、対応に追われた。「検査がなかなか受けられない」。区民の訴えは保坂氏の元にも届いていた。保坂氏は5月ごろからクラスター(感染者集団)が発生しやすい施設でどう感染を抑えるかを考え始めたという。

 7月27日にあった区の新型コロナ対策本部会議で、出席した児玉龍彦・東京大先端科学技術研究センター名誉教授の言葉がヒントになった。「PCR検査を大量に行う仕組みを区として作る。世田谷モデルを作っていくのが大事だ」と検査の大幅な拡充が提案された。その手法として、プール方式も示された。この方式は4人程度の検体を一度に検査し、陰性なら全員陰性とし、陽性なら1人分ずつ検査し直す。コストや時間がかからず、米国や中国、韓国で実績がある。

 保坂氏はすぐにメディアを通じて検査拡充の意義を盛んに発信した。発言が全区民を検査すると受け取られることもあったが、「いつでも――」を目指し段階的に検査体制を広げていくという趣旨だったという。

「科学的知見確立されていない」と国費対象認めず

 区は8月24日、区内の高齢者施設などの職員ら約2万3000人に対するPCR検査費用約4億円を盛り込んだ補正予算案を発表。プール方式で1日あたり1000件程度の検査を想定していた。しかし、厚生労働省は9月11日、区…

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