連載

日々是・感劇

毎日新聞デジタルの「日々是・感劇」ページです。最新のニュース、記事をまとめています。

連載一覧

日々是・感劇

力を持つ者は…

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 <へたに階上(うえ)を刺激してはいけない>。そんなセリフにピクッとなるのは、ご時世のせいか。「言論」を巡り芝居と現実がビリビリと響き合う井上ひさし作のこまつ座「私はだれでしょう」(9~22日、東京・紀伊国屋サザンシアター、栗山民也演出、12月まで全国で演劇鑑賞会公演あり)である。

 主軸となるのは、戦後民主主義がもたらした「言論の自由」と連合国軍総司令部(GHQ)占領下における「言論統制」の板挟みになる日本放送協会の「尋ね人」のコーナーだ。投書を選びラジオの電波に乗せる川北京子(朝海ひかる)らの思いや、サイパンで自分は誰かの記憶を失った山田太郎?(平埜生成)の自分探しが絡み合う。

 多彩な劇中歌がいい(朴勝哲ピアノ奏者)。リチャード・ロジャースの原曲「ミミ」に井上が作詞した「耳」はラジオの力をうきうきと。一方、フリードリッヒ・ホレンダーの原曲に<ちからを持つものは/いつも押してくる>と詞を付けた「ぶつかって行くだけ」は、弱い者が戦い続ける意義を説く。為政者の顔かたちが変わっても、力を頼んで押してくるのはいつの世も同じ。決然とした朝海の歌声が胸を打つ。国籍とかではなく、つまる…

この記事は有料記事です。

残り292文字(全文785文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集