2016年のリオデジャネイロ五輪閉会式で、リオ市長から五輪旗を受け取ったのは東京都の小池百合子知事だった。国が開催地になるサッカーW杯と異なり五輪は都市で開かれるが、主な会場となる東京23区はそれぞれ別の自治体。区全体を統括するトップがいない東京のような例は世界的には珍しい。大阪市を廃止して特別区を設置する大阪都構想の住民投票は、この珍しいケースに加わるかを問うものだ。
都構想が必要な理由として、道府県と大都市の間の葛藤が指摘さもれている。確かにそうした問題は存在する。例えば市外にニュータウンができて市内に通う人が増えると、鉄道や道路の建設が必要になる。道府県は市域にとらわれず一体的に整備したいと考えるが、大都市側にとっては、市外の都市計画は管轄外だ。
各地の政令指定都市ではこれまで、周辺の自治体を合併することでこの問題を解決してきた例が多い。大都市行政の今後の在り方としては、大阪のように政令市を廃止するのではなく周辺自治体を取り込んだ上で、道府県のほとんどの権限を移譲してもらうやり方もあるのではないか。都構想とは異なる方向だ。
吉村洋文知事と松井一郎市長は「自分たちの人間関係で成り立っている『府市一体』を都構想で制度化する」としている。しかし、新しい4人の区長が同じ党派になるとは限らないし、区長が常に知事に従う関係は地方自治ではない。「身近な特別区」は名ばかりで、知事による中央集権になる可能性が高い。
住民投票で可決されれば、1人の市…
この記事は有料記事です。
残り324文字(全文953文字)
毎時01分更新
◇塩ひとつまみ、うまみ凝縮 大寒も過ぎ、冷え込みは今が本番…
「気がつくと、所持金は103円でした。4日の仕事始めに出勤…
かつて多数のテロ・ゲリラ事件に関与し、犠牲者を出してきた過…