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ALL FOR 2020

東京へ ともに歩む

毎日新聞

女子シングルスで優勝した奥原希望=オーデンセで、バドミントンフォト提供・共同

アスリート交差点2020

己と向き合う コロナ下の国際大会で実感した成長と感謝=バドミントン・奥原希望

 新型コロナウイルスの感染拡大で中断されていたワールドツアーが7カ月ぶりに再開され、初戦のデンマーク・オープン(10月13~18日)で2年ぶりに国際大会で優勝することができました。試合のない期間、ある課題に取り組み、その成果を発揮することができました。コロナ下での国際大会を経験して感じたことも多く、たくさんの大会スタッフの努力に感謝しています。

 この7カ月間、先が見えずにつらいと思った日もあれば、気持ちが乗らないまま体育館へ向かった日もありました。それでも、今できることは最高のパフォーマンスを出せるように準備することだけだと自らに言い聞かせ、課題と向き合ってきました。

 課題とは、以前に桃田賢斗選手(NTT東日本)から受けた助言の意味を考えること。「一球一球ちゃんと打て」と言われていたのですが、それは練習でも試合をイメージしながら動くことなのだと気づきました。シャトルの来るコースが事前に分かる「パターン練習」でも、どこに来るか分からない試合と同じ意識で待つ。当たり前と思うかもしれませんが、一つ一つの積み重ねが最も大事なのです。

女子シングルスで優勝し、笑顔の奥原希望=オーデンセで、Scanpixロイター共同

 以前は試合で相手に得点を決められると焦ったり、終盤になると決め急いだりすることがありました。しかし、地道な練習で動きの質とスピードが上がり、今大会は自信を持ち、落ち着いて目の前のラリーに集中することができました。桃田選手のイメージするバドミントンの世界がようやく見えてきました。

 大会のコロナ対策は徹底されていました。PCR検査は、出国前、入国直後、大会途中、帰国後の4回。会場内は選手の動線が明確に示され、定期的に消毒されました。ホテルの朝食はビュッフェ形式でしたが、料理を取る際はマスク、手袋をするように求められました。国によって感染状況も異なるため、テーブルは国別になっていました。

 一方、混雑する時間帯を除いて外出も認められ、ホテル周辺の個室付きのレストランやスーパー、ランニングコースなどが利用できるようになっていました。おかげでこれまでの大会とほぼ変わらず、ストレスのない生活を送れました。ホテルと会場の往復だけでは窮屈に感じられます。適度にバランスの取れた対策だったと思います。

 会場内は選手やスタッフ、観客を合わせて500人までに制限されましたが、拍手などの応援を受けてプレーできました。無観客の静寂に比べれば、ありがたい環境でした。観客の皆さんは楽しそうでしたし、ネット交流サービス(SNS)の反応も「久しぶりにわくわくした」と喜ぶ声が多くありました。選手も観客も一緒に盛り上がれるのがスポーツの良さ。たとえ観客数が制限されるなど完全な形でなかったとしても東京オリンピックを開催し、スポーツの素晴らしさを多くの人々に実感してもらいたいと改めて思いました。=随時掲載

おくはら・のぞみ

 長野県大町市出身。2011年の全日本総合女子シングルスで史上最年少(16歳8カ月)優勝。16年リオデジャネイロ五輪銅メダル、17年世界選手権優勝。太陽ホールディングス所属。25歳。