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的川博士の銀河教室

的川博士の銀河教室 619 スポーツと「はやぶさ2」

喜ぶ「はやぶさ2」の運用チーム=相模原市のJAXA宇宙科学研究所の管制室で2019年7月(同研究所提供)
女子団体追い抜きで優勝し、日の丸を手に笑顔を見せる(右から)高木美帆選手、高木菜那選手、佐藤綾乃選手、菊池彩花選手=江陵オーバルで2018年2月、佐々木順一撮影
男子団体総合で優勝し、金メダルを手に笑顔を見せる(左から)山室光史選手、内村航平選手、田中佑典選手、白井健三選手、加藤凌平選手=リオデジャネイロのリオ五輪アリーナで2016年8月、小川昌宏撮影

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チームワークで心を一つに

 私は小学生の終わりごろからソフトテニス(軟式(なんしき)庭球)をやっていました。最初は野球が大好きだったのですが、父も2人の兄もソフトテニスの選手だったので、将来ダブルスを一家で楽しむには、私が素人では駄目(だめ)と言われて、仕方なく始めたのでした。でも結局はずっとのめり込(こ)んでいって、一生懸命(いっしょうけんめい)に励(はげ)みました。

 今考えてみると、テニスから学んだことはいっぱいあります。たとえば、「県大会で優勝しよう」というような大きな目標を持つだけでは進歩しない。その日テニスコートに入ったときに、「今日の目標は、低いボールをバックハンドできちんと返球できるようにしよう」というような、身近な課題を自分に課して、少しずつ階段を上っていかなければ上達しない、ということ。「着眼大局、着手小局」というのですね。

 もう一つの大きな教訓は、団体戦の喜びです。個人戦で県大会優勝してもそれだけのことですが、5組(10人)の団体戦で勝つと、その喜びは何十倍もの興奮に膨(ふく)れ上がります。ともに苦労して練習した毎日が思い出されて、すてきな共感につながるのですね(写真1と2)。

 大人になって宇宙の仕事についてからは、プロジェクトは常に団体戦の連続でした。いろいろな分野の仲間とミッションの目標を懸命に追求していくプロセスは、スポーツの団体戦と共通していることが多くありました。

 いま私は神奈川県横浜(よこはま)市のはまぎんこども宇宙科学館で仕事をしていますが、そこに最近まで「はやぶさ2」の中心メンバーから6人が来て、連続講演をしてくれました。どれもよく準備された素晴らしい話ばかりで、感動的なエピソードをいくつも聞くことができました。これまでに動画配信したものを、科学館のユーチューブチャンネルで見ることができます。右下のQRコードからアクセスできます。ぜひのぞいてみてください。

 その人たちに、視聴者(しちょうしゃ)から「成功の原因は?」と質問が寄せられたのですが、驚(おどろ)くべきことに全員の答えが、「チームワーク」だったのです(写真3)。ただし、みなさんが大きくなってつく仕事には、団体戦というよりは「個人戦」という性格のものもあるでしょうね。たとえば、囲碁(いご)とか将棋(しょうぎ)は自分だけが頼(たよ)りという感じですよね。

 実は今月31日、科学館で、あの将棋の羽生善治(はぶよしはる)さんと私の対談企画(きかく)が組まれているのですが、先日打ち合わせをして驚いたのは、将棋の世界にも、みんなで一緒(いっしょ)に進歩していく側面が色濃(いろこ)くあるということでした。当日羽生さんからどんな秘密が明かされるか、今から私は楽しみにしているのです。きっとみなさんのこれからにとっても有益な話になるに違(ちが)いありません。こちらはリアルタイムでオンライン配信されるので、31日午後3時半になったら、ぜひご家族でユーチューブ(https://youtu.be/2AOTjoapryM)をどうぞ。

 今日は少し角度を変えて、私の打ち明け話をしました。


的川泰宣(まとがわやすのり)さん

 長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


日本宇宙少年団(YAC)

 年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac−j.or.jp


 「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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