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村上陽一郎・評 『東大という思想 群像としての近代知』=吉見俊哉、森本祥子・編

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『東大という思想 群像としての近代知』
『東大という思想 群像としての近代知』

 (東京大学出版会・3850円)

教養学部が大学を方向付けた

 良くも悪くも、東大は、日本における最初の近代的大学として発足以後、日本社会のなかに、ある種の場所を占め続けてきた。イギリスの有力誌<THE>の発表する昨年発表の世界大学ランキングでは、取りあえずは日本のトップに置かれている(三六位、京大は六五位、上位六位まではすべて国立大学法人)。そのブランド形成の歴史を振り返りながら、単なる世評を超えて、東大なるものに如何(いか)なる存在価値があり得るか、を論じようとする、野心的な目標を掲げた、結構異色の書物である。

 冒頭に編者の一人による、要領の良い歴史的オーヴァー・ヴューが描かれた上で、医学におけるベルツ、物理学における山川健次郎、工学ではH・ダイアー、東洋史学と白鳥庫吉、経済学と高野岩三郎、戸田貞三と社会学、造船・造艦技術と平賀譲、内田祥三(よしかず)の建築学の分野の過去が、それぞれの領域を代表する個人の仕事を中心にしながら、専門家の手で明らかにされる。そこまでは、ほぼ戦前の東大の横顔の記述ということに…

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