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医師が必要と判断した人のPCR検査もできず…鈴木前医務技監「頭を下げるしかない」

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インタビューに応じる鈴木康裕・前厚生労働省医務技監=厚労省内で
インタビューに応じる鈴木康裕・前厚生労働省医務技監=厚労省内で

 政府の新型コロナウイルス感染症対策を最前線で指揮し、8月7日付で厚生労働省を退官した鈴木康裕・前医務技監が、毎日新聞のインタビューに応じた。医務技監は医療政策や感染症対策を指揮する事務次官級のポストで、いわば現場の最高責任者。これまでの政府の一連の対応を振り返る中で、春先に関心を集めたPCR検査の態勢について、「医師が必要と判断した人も検査できなかった。頭を下げるしかない。申し訳ない」と述べた。【聞き手・阿部亮介】

待たせた間に症状が進んでしまったこと、大いに反省

――春先の流行期には、PCR検査が受けられないことが国民の大きな関心事となりました。当時の安倍晋三首相は2月に、医師が必要と判断すれば全ての患者が検査を受けられるようにすると宣言していたこともあり、厚労省に批判が集まりました。

 ◆医師が必要と判断した患者は全て検査できるようにする、というのは正論だが、そうした場合にも検査ができなかった。それについては我々は頭を下げるしかない。申し訳ないというしかない。

 発症から診断までが、東京都では4月で8日程度、7、8月になると5日程度になった。(症状の)様子を見たりして、検体を取って結果が出るまでが1~2日かかるとすれば、4月の段階では検査まで3~4日待たせていたことになる。その間に症状が進んでしまった人もいるし、(検査ができなかったことにより、患者を)見逃した例もあると思う。それは大いに反省すべきだと私は思う。

 ただ、前提としてPCR検査がどういうものか考える必要はある。陽性と結果が出たからといって、本当に感染しているかを意味しない。ウイルスの死骸が残って、それに反応する場合もある。ウイルスを吸い込んでも陽性にならなかった人もいる。感染していないが陽性になった人も結構いるとみられ、本当に感染していても7割か8割しか検出できない。PCR検査は完全ではないということは言っておきたい。

保健所のキャパシティーの問題が大きかった

――新型インフルエンザが流行した2009年の検証でもPCR検査の増強の必要性は指摘されていましたが、なぜ増えなかったのでしょうか。

 ◆保健所が大きな役割を果たすのだが、東京都は人員を4倍に増やして一生懸命対応していた。しかし、熱があるという連絡を…

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