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イスラム教徒困った「墓がない」 土葬に住民反発、建設頓挫「町のイメージダウン」

カトリック墓地に埋葬された長男を悼むサイードさん=大分県別府市浜脇の別府カトリック墓地で2020年10月16日午後2時25分、辻本知大撮影

 国内の信者数が今や23万人に上るイスラム教徒。「ハラル」などの文化や慣習が少しずつ浸透する一方で、イスラム教徒が困り果てている問題がある。家族を埋葬できる墓がほとんどないのだ。大分県では墓地の建設計画が住民からの思わぬ反発で頓挫している。仏教徒は火葬して埋葬するが、イスラム教徒は土葬。現代の日本ではなじみの薄い土葬への抵抗感や異なる宗教への不安が反発の背景にあるようだ。

町「公衆衛生面では問題がない」

 イスラム教徒の聖典、コーランでは死者の復活が信じられており、信者の間では生き返るための肉体が必要だとして土葬が選ばれている。このため、火葬後に納骨する一般的な墓地には埋葬できない。

 大分県別府市の会社役員で、パキスタン出身のザファー・サイードさん(39)も埋葬の問題で頭を悩ませたイスラム教徒の一人だ。2011年12月、早産で生まれた長男を失ったが、九州に信者用の墓地はない。00年に来日し、既に日本国籍を取得したサイードさんにとって母国は日本。土葬が可能な市内のカトリック教会の墓地に埋葬させてもらい、ようやく息子を天国に送ることができた。

 だが、その墓地も空きがなくなり、サイードさんの周囲のイスラム教徒は困り果てた。そこで、別府市の宗教法人「別府ムスリム協会」は九州初の信者用の墓地を建設しようと、18年12月、同県日出町(ひじまち)に約8000平方メートルの土地を購入した。

 墓地埋葬法では土葬用の墓地を制限する規定はない。一部の自治体は条例で土葬を禁止しているが、墓地に関する日出町の条例は土葬を禁じておらず、本田博文町長の許可を得られればイスラム教徒の墓地も開設できる。購入した土地は住宅や畑がある集落からは約3キロ離れた山間部にあり、しかも土葬が可能なカトリック信者向けの墓地や一般の霊園に隣接している。協会のカーン・タヒル代表(53)は「これで問題が解決できると思った」と語る。

 ところが、今年2月から5月にかけて近くの地区の…

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