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社説

混迷深めるタイ情勢 若者の声に耳を傾けねば

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 タイの反政府デモが収まらない。プラユット政権は早期収拾をめざすが、簡単ではなさそうだ。

 デモの主体は若者たちである。豊かになった社会に育ち、インターネットによって外国事情にも通じている。

 政治の混乱が10年以上も続き、近年は経済成長にも陰りが見られる自国の状況にいらだちを募らせる世代だ。新型コロナウイルスの感染拡大で、若者の就職事情は従来以上に厳しくなった。

 若者たちが掲げる主な要求は、現政権退陣と憲法改正、王室改革である。既得権益を打破し、民主的な社会を作りたいという思いは理解できる。

 現行憲法は、軍の影響力が強すぎるという問題を抱えている。

 タイは6年前のクーデターで軍事政権となったが、昨春の総選挙で民政復帰した。

 しかし、上院の250議席はすべて軍の指名だ。下院の500議席は選挙で選ばれるが、150議席ある比例代表で中小政党が優遇される仕組みになっている。軍部の対抗勢力となる大政党の出現を阻むのが狙いである。

 上下両院議員の投票で指名される首相には、軍政トップだったプラユット氏が就いた。

 一方で、軍部を批判し、若者の支持を集めていた野党は今年2月に解党を命じられた。「名ばかりの民政移管」との批判が噴き出し、今回のデモにつながった。

 タイでは、国政が混乱した時には国王が収拾を図ってきた。だがカリスマ性のあったプミポン前国王が4年前に死去して以降、王室への敬意は薄れつつある。

 現国王は巨額の王室財産を自ら管理するように制度を変え、王室庁の予算を倍以上に増額させた。1年の大半をドイツの別荘で過ごし、国民の前に姿を見せることも少ない。

 政権は、バンコクでの5人以上の集会を禁じる非常事態宣言を解除した。国会で憲法改正の論議に応じる姿勢も見せる。

 単なる懐柔策に終わらせず、平和的な解決につなげなければならない。若者たちの求める統治機構改革に踏み込まなければ、かえって反発を高めるだけだろう。

 若者たちの声に耳を傾ける姿勢が政権側に求められている。

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