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薄っぺらな「合法性」に抗して 異論、述べ続けよう=武田徹

 新世代の哲学者として日本でも注目を浴びるドイツ・ボン大教授のマルクス・ガブリエル氏が「市民的服従」という概念を使っている(中島隆博氏との共著「全体主義の克服」集英社新書)。

 そこで意識されているのは、もちろん「市民的不服従」を実践した19世紀米国の思想家ヘンリー・デビッド・ソローだ。マサチューセッツ州の郊外に独居して静かに思索を重ねたソローだが、その人生は平穏無事ではなかった。戦争や奴隷制に反対する意思を、彼は納税拒否という方法で米政府に示し続けた。良識に照らして賛成できないと考えた法律や命令に対して公然と非暴力的手段で抵抗した姿勢は、インド独立の父ガンジーの「非暴力不服従」の思想にも影響を与えた。

 しかし、今や市民社会は「服従」へ差し向けられているとガブリエル氏は言う。わかりやすい例が日本にはある。内閣人事局を設置して官邸が官僚人事に介入できる制度を整え、政策実現に協力的な官僚を重用する。そうしたシステムが作られると権力の中枢に近づきたいと望む官僚ほど政府の政策に自発的に従う道を選ぶようになる。

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