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「財研」記者日記

(1)財務省の花形ポスト「主計官」 喜怒哀楽に富む意外な素顔

国の予算編成を担う財務省=東京都千代田区で2016年6月7日、井出晋平撮影

 「落としどころは見えてきましたか?」

 「そんなの全然。今の時点で見えているわけないでしょう。まだ日が高い」

 10月中旬、東京・霞が関の財務省。日が暮れて人影の減った薄暗い廊下で帰路に就く幹部を直撃すると、幹部は速足で歩きながらまくしたてた。口ぶりとは裏腹に、頭の中では年末に向けた予算攻防のシナリオを完璧に描いているはず――。そんなことを思いながら、後ろ姿を見送った。

 霞が関は今、年末に決定される2021年度予算案の編成で慌ただしさを増している。11月10日には菅義偉首相が追加経済対策と20年度第3次補正予算案の編成も指示した。中心となるのが、国の財政を預かる財務省だ。中でも、どんな政策にどれだけの予算をつけるかは「主計局」が一手に担う。国の懐事情に目を配りながら、必要な政策を見極め、私たちの税金を配分する主計局の仕事は「財務官僚の醍醐味(だいごみ)」(幹部)と言われる。

今年は春からフル回転

 私たち「財研」記者の仕事も、財務省の慌ただしさに比例して忙しくなる。「財研」とは、財務省を取材する新聞社や通信社、放送局が加盟する記者クラブ「財政研究会」の略称だ。入社17年目の私は4月から財研に所属し、主計局の担当になった。

 財研記者は普段、他のクラブの記者から「年末しか働かない季節労働者」とやゆされるが、今年は違う。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、既に2度にわたって大型の経済対策を盛り込んだ補正予算が組まれ、春からフル回転だった。

 そして9月末、各省庁は来年度予算案に盛り込みたい事業や予算額を財務省に要求。新型コロナ対応を優先させたため、例年より1カ月遅れだったが、いよいよ来年度予算編成の号砲が鳴った。

主役は9人の「主計官」

 主計局は今、各省庁の要求内容を査定して必要な予算かどうか吟味している。査定のまとめ役は「主計官」と呼ばれる9人の幹部たち。主計局長、3人の次長に続く役職で、事務方トップの事務次官を目指す登竜門とされる花形のポストだ。

 9人はそれぞれ「文部科学」「厚生労働」「国土交通、公共事業総括」などを担当し、15~30人ずつの職員が…

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和田憲二

 1981年、福岡市生まれ。2004年、東京大学教育学部卒、毎日新聞社入社。さいたま支局を経て09年から東京本社経済部。自動車やエネルギーなどの民間企業のほか、証券業界や金融庁、経済産業省などを担当。20年4月から財務省を担当している。

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