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社説

核禁止条約発効と日本 もはや背は向けられない

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 核兵器の開発から使用、威嚇まで禁止する核兵器禁止条約が来年1月22日に発効する。批准国・地域数が発効に必要な50に達した。

 人類に甚大な被害を与える大量破壊兵器のうち生物兵器と化学兵器はすでに禁じられている。唯一残されているのが核兵器だ。

 条約は、2017年に国連で122カ国と地域の賛成で採択された。ただ、核兵器を持つ国はいずれも署名しておらず、すぐに核兵器がなくなるわけではない。

 それでも、発効すれば、核兵器自体を違法とする新しい国際規範が生まれる。保有国に核軍縮を迫る圧力になるだろう。

 日本政府は条約の枠組みに参加していない。米国の「核の傘」に依存しており、核保有国が参加しない条約は「現実的、実践的ではない」と主張する。

 しかし、核抑止は万能ではない。核戦争は情勢の誤認や機器の誤作動でも起こり得る。攻撃と反撃が核兵器で繰り返されれば自国だけでなく世界が滅びる。

 核保有国やその同盟国は、核兵器で抑止力を維持した冷戦時代の発想を変える必要がある。

 政府は核拡散防止条約(NPT)体制を強化するのが現実的だともいう。NPTが義務付ける核軍縮交渉を推進する考え方だ。

 米露が核弾頭数を大幅に減らしたのは事実だ。しかし、この3年のうちに中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄し、中国を交えて核兵器の近代化を競っている。

 米国は条約に同調する中小国に圧力をかけてきたという。日本は核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任するが、両者の対立を和らげる成果は出せていない。

 政府は核廃絶へのアプローチの違いから核禁条約に背を向けてきた。だが、そのアプローチが行き詰まっているのは明らかだ。

 発効後1年以内に批准国による締約国会議が開かれる。批准していなくても、認められればオブザーバー参加することができる。

 日本が果たすべき役割は、会議に参加し、核廃絶の議論に耳を傾け、実効性ある核軍縮を考え、世界に発信することではないか。

 条約の前文には「ヒバクシャ」の文字が刻まれている。その重みと責任を唯一の戦争被爆国として改めて自覚すべきだ。

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