メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

#排除する政治~学術会議問題を考える

「徹底した対話で信頼醸成を」 礪波亜希・筑波大准教授

礪波亜希・筑波大准教授=本人提供

 菅義偉首相による日本学術会議の新会員候補任命拒否問題は、「政治と学術」の関係に対する世間の注目を集めている。海外メディアからは首相の姿勢に批判的な報道も出ているが、日本の現状は国際的な文脈ではどう見えるのか。オランダやデンマークに研究者として長期の滞在経験がある国際政治学者の礪波(となみ)亜希筑波大准教授(46)に聞いた。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

「対話」足りない日本 徹底するデンマーク

 ――今回の問題をどう見ますか。

 ◆政府と学術界や一般人の間の「対話」の不足を感じます。菅首相は日本学術会議の新会員候補任命拒否の理由について、「総合的、俯瞰(ふかん)的な判断」といった説明に終始しており、十分とは言えません。

 新聞などの首相動静を見ても、会っているのはほとんど男性です。対話の仕方が間違っているのではないでしょうか。「エスタブリッシュメント(既得権益層)」のおじさん、おじいさんたちばかりでなく、若者や女性などさまざまな人たちの声を聞くべきだと思います。それも「パンケーキ好き」といったソフトイメージを売り込むのではなく、相手の話に耳を傾け、自らの方針、政策を丁寧に説明すべきでしょう。仕事が忙しかったり、政治に興味が薄かったりする人が少なくない日本だけに、政治指導者のそうした取り組みは重要だと思います。

 私は2016年までコペンハーゲン大の研究員や准教授としてデンマークに約5年間暮らしましたが、思ったのは、民主主義は手間がかかるということです。若者でも高齢者でも、とにかくさまざまな問題について、タブーなく、議論をします。日本人の私であっても見解を聞かれることもありました。意見を表明すると「わからない」と批判され、正直、疲れることもありました(笑い)。要は、「対話」という民主主義の基本を大切にしているということだと思います。

 社会の問題について不安に思っている人がいるならば、どこまで政策に反映できるのかはわからないけれども、とにかく話を聞こうという姿勢があります。大学でも外国人教員の声を聞く機会が月1回程度は設けられており、当時の上司もよく「ダイアローグ(対話)」の重要性を強調していました。

緊急時こそ過程の重視を

 ――世界を見ると、対話を重視する姿勢は、女性の政治指導者に顕著に思えます。

 ◆デンマークだけでなく、ドイツやスコットランド、ニュージーランド、台湾などの女性の政治リーダーは、問題点を率直に説明したうえで可能な選択肢を明示して、どうすべきか問いかけています。実施に時間はかかるかもしれませんが、過程を大事にしているということですね。国民の話を聞き、共感を示すことを、弱みとは考えていないわけです。

 平時であればトップダウンで進めても問題がないのかもしれません。即断即決で物事を進める満足感もあるでしょう。…

この記事は有料記事です。

残り1757文字(全文2934文字)

和田浩明

1991年4月入社。英文毎日編集部、サイバー編集部、外信部、大阪社会部を経て2003年10月から08年3月までワシントン特派員。無差別発砲事件、インド洋大津波、イラク駐留米軍や大統領選挙を取材。09年4月からはカイロに勤務し、11年1月に始まった中東の民主化要求運動「アラブの春」をチュニジア、エジプト、リビア、シリア、イエメンで目撃した。東京での中東、米州担当デスク、2度目のワシントン特派員などを経て2019年5月から統合デジタル取材センター。日本社会と外国人住民やLGBTなどの今後に関心がある。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 新型コロナ 感染拡大地からの「GoTo」やめて 憤る医療関係者 「予防にマイナス」

  2. 一斉休校は「科学より政治」の悪い例 クルーズ船対応の失敗を告発した岩田教授に聞く

  3. コロナ禍に売り上げ急回復、相次ぐ新規出店 焼き肉店が好調なワケ

  4. 日立製作所vsヤマハ 第6日第1試合スタメン 午前10時から 都市対抗野球

  5. 「5000円でもできる」強弁 桜を見る会迷走、はぐらかしの菅氏答弁を振り返る

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです