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「ノーベル賞候補」東大・藤田卓越教授、産学連携組織を開設 注目の化学者の狙いは

取材に応じる藤田誠・東京大卓越教授=東京都文京区本郷7の東大本郷キャンパスで2020年9月18日午後4時28分、信田真由美撮影

 著名な化学者の藤田誠・東京大卓越教授(63)が開発した、結晶化させずに分子の構造を解析できる技術の発展を目指す産学連携組織「統合分子構造解析講座」が11月1日、東大に開設される。製薬や化学、香料などの企業19社から外部資金を得て研究を進め、企業への成果の還元を目指す。一方で、企業の資金を基にしつつ基礎研究にも重きを置くのが特徴だ。

 藤田さんは、分子同士が自然と集まって結びつく「自己組織化」という現象を利用して、従来作るのが難しかった複雑な構造の巨大分子を試薬を混ぜただけで作るのに成功した研究で知られる。2018年にイスラエルのウルフ賞、20年にはクラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞と、後にノーベル賞受賞者が多数出ている賞を立て続けに受賞し、注目されている。

 藤田さんは13年、自己組織化によって作った巨大分子内に規則正しく並ぶ空洞に、液体に溶けた化学物質を垂らし入れて結晶化させることなくX線で構造解析する「結晶スポンジ法」という技術を開発した。これによって天然分子の結晶化という難しい過程を省くことが可能となり、物質の化学構造を明らかにする「構造決定」にかかる時間を劇的に早め、確実性も高めた。発表直後から企業からの問い合わせが殺到した。

 藤田さんは「あらゆる分野で構造決定がネックになっていて、皆困っていたというのが結晶スポンジ法の研究をやってよくわかった」と言う。例えば創薬の分野では、薬の候補物質となる天然分子は構造を精密に知らなければ化学合成できないが、構造決定の難しさがボトルネックとなっていた。また、食品業界でも、製造過程で不純物が混入した場合に、不純物の構造決定によって混入原因を突き止められるようになる。

 今回の講座は「学術と社会の発展」を目指し、事業化を見据えた応用研究だけでなく、新たな構造解析技術開発のための基礎研究も強化する。それは、基礎研究こそが大きな価値を生み出す可能性があると考えているためだ。最近では、自己組織化で作った空洞の中にたんぱく質を入れて安定な状態にさせ、構造を解析する技術の開発も進められている。

 藤田さんによると、米国では、大学の基礎研究が将来的に利益に結びつく可能性に基づいて企業が出資して成果が出ることで、学術と社会が発展する仕組みができているという。「日本では…

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