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2020米大統領選

2020年11月に行われた米大統領選。共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン氏が争い、バイデン氏が勝利した。

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選挙結果巡る「司法判断」の環境整備か 大統領選直前の最高裁判事就任

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米ホワイトハウスで最高裁判事への就任宣誓式に臨むバレット氏(左)。右はトランプ大統領=2020年10月26日、AP 
米ホワイトハウスで最高裁判事への就任宣誓式に臨むバレット氏(左)。右はトランプ大統領=2020年10月26日、AP 

 米上院本会議で連邦最高裁判事に承認されたエイミー・コニー・バレット氏(48)が26日、就任した。ドナルド・トランプ大統領(74)が2016年大統領選で公約とした保守派判事の指名と承認は3人目となる。トランプ氏は11月3日の大統領選・議会選で票の積み増しを目指すとともに、大統領選が混乱した際に最高裁が「司法判断」をする環境を整える狙いとみられる。

民主党支持層の怒りに火をつける可能性

 トランプ氏は26日、ホワイトハウスでバレット氏の就任宣誓式を開いた。南庭に集まった共和党議員ら約200人を前にして「大統領にとり最高裁判事指名以上の厳粛な使命と栄誉はない」と述べた。9月26日にホワイトハウス中庭で開いたバレット氏指名式典は、新型コロナウイルス集団感染の発生源になった。今回は出席者の大半がマスクを着け、席の間隔も取ったが、国内で感染拡大が続く中での再開催は批判を浴びるリスクがある。

 それでも派手なセレモニーに固執したのは、苦戦が伝えられる選挙情勢で、バレット氏承認を支持者の結束を促す起爆剤にして、局面転換を図る狙いがあるからだ。トランプ陣営は、今回の判事就任の成果が人工妊娠中絶や性的少数者(LGBTQなど)の権利拡大に否定的なキリスト教右派や保守色の強い州の有権者へのアピール材料となり、大統領選だけでなく上院選でも得票増につながることを期待する。

 一方で、民主党は16年に、オバマ大統領(当時)がリベラル派判事を指名したが、「新しい大統領が指名すべきだ」と主張する議会与党・共和党に審議拒否されたうえに潰された苦い記憶がある。

 民主党上院トップのシューマー院内総務は26日の本会議での採決前に演説し「共和党はこの日を長く後悔することになるだろう」と警告した。投票日直前の承認は民主党支持層の怒りに火を付け、トランプ氏の再選阻止や共和党議員の落選運動につながる「両刃の剣」となる可能性もあるからだ。

 また民主党が上院選で過半数を奪還した場合、最高裁の規定を変更できる権限を握ることになる。バレット氏の就任により、保守派6人、リベラル派3人になった最高裁の保守化を阻むため、判事の定数を現行の9人から最大13人に拡大する案も浮上している。

 大統領選の民主党候補、ジョー・バイデン前副大統領(77)は26日の声明で、大統領選直後の11月10日に最高裁が医療保険制度改革(オバマケア)存廃を巡る審理を開始することを指摘し「トランプ氏はオバマケアを破壊しようとしているが、我々はあきらめない。あなた方の一票にかかっている」と支持を訴えた。まずは上院の多数派になってから、今後の対応を決める考えをにじませた。【ワシントン高本耕太】

本当の影響出るのは投票結果巡る混乱時

 1週間後に迫った大統領選では、投開票日以降に郵送された投票用紙をいつまで集計するかなど開票のルールが争われ、連邦最高裁の判断を仰ぐケースが相次いでいる。26日に就任したバレット氏がまず関わるのは大統領選に関連する訴訟になりそうだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの州で投票方法に何らかの変更があり、郵便投票を認めたのがその典型例だ。しかし、郵便サービスが新型コロナの影響を受け遅延を余儀なくされる地域がある。

 26日には接戦州の一つ、中西部ウィスコンシン州で民主党や市民団体が、遅れる可能性がある郵送分について投開票日から6日間は集計するよう求めた訴訟で、最高裁は却下する判断を下した。保守派5人が反対、リベラル派3人が容認した。…

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