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毎日新聞

アーチェリーの全日本選手権に出場する東京パラリンピック代表内定の重定知佳=林テレンプ提供

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全日本アーチェリーに出場へ 五輪との二刀流に憧れる重定知佳

 28日で開幕300日前を迎えた東京パラリンピックのアーチェリー日本代表に内定している重定知佳(37)=林テレンプ=が、今月31日に開幕する全日本選手権(愛知・岡崎市龍北総合運動場)に出場する。同選手権のリカーブ部門にパラの車いす選手が参加するのは異例だが、「確かに私は車いすに座っているが、気にはしていない」と重定。見据えているのは70メートル先の的だけだ。【高橋秀明、谷口拓未】

 北九州市出身の重定は中学2年の時、脊髄(せきずい)の難病で胸から下の運動機能が弱まり、車いすユーザーになった。高校卒業後に車いすテニスを始め、引退後、2015年から「一人で気楽に始められそう」なアーチェリーに取り組んだ。18年アジアパラ大会では、16年リオデジャネイロ・パラリンピック男子リカーブ7位の上山友裕とコンビを組んだリカーブ混合団体で、銀メダルを獲得。東京パラリンピックの出場権も既に得ている。

 ところが新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京大会が1年延期に。練習拠点である北九州市のアーチェリー場も閉鎖され、自粛期間中は8畳の自室で、2メートル先の的に向けて矢を放つのが精いっぱいだった。そこで「試合勘を取り戻したいのと、金メダルを目指している東京大会を見据えて、高いレベルで戦えばいい経験になると思った」と、出場条件の記録をクリアしていた全日本選手権への参加を決意した。大会には12年ロンドン五輪女子団体銅メダリストの早川漣(デンソーソリューション)らトップ選手も出場する予定だ。

 アーチェリーは五輪もパラリンピックもルールがほぼ同じで、互いの垣根が低い。16年リオデジャネイロ大会では、交通事故で車いす生活になったザハラ・ネマティ(イラン)が五輪、パラ両方に出場。五輪の開会式で旗手を務め、パラリンピックでは2連覇を果たした。

 重定は「憧れの存在でしかなかったネマティの背中が、少しずつ見えてきた。五輪の選手とは力の差があるが、全日本では予選を突破した上で、一つでも多く勝ち進みたい」。ペルシャのヒロインの背中を追って、重定もまた、新しい扉を開こうとしている。

高橋秀明

毎日新聞東京本社運動部編集委員。1968年、東京都生まれ。1991年入社。京都支局、鳥取支局を経て、大阪、東京運動部で野球、大相撲、柔道、レスリング、ニューヨーク支局で大リーグを担当。アテネ、トリノ、北京の五輪3大会を現地取材した。2018年4月からパラリンピック報道に携わる。最近の趣味は畑いじり。

谷口拓未

毎日新聞東京本社運動部。1987年、北海道生まれ。2010年入社。津支局、中部報道センター(名古屋市)を経て、16年10月から現職。17年からパラリンピックを担当し、18年に平昌パラリンピックとジャカルタ・アジアパラ大会を現地取材した。19年はラグビーW杯取材に没頭。甲子園まで「あと1勝」に迫った高校球児の頃から好不調の波が激しい。