PFOSとPFOA

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物「PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)」について、NPO法人「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」(中下裕子代表理事)は29日、国の暫定目標値を超える濃度の水道水を利用していた東京・多摩地域2市の住民22人の血漿(けっしょう)中濃度の平均が全国平均を上回っていたと発表した。同会議は国と都に対し、多摩地域の住民の健康調査を求める提言書を提出した。

 有機フッ素化合物を巡っては、厚生労働省が今年4月、水道水中のPFOSと、類似の物質「PFOA(ペルフルオロオクタン酸)」の濃度を1リットル当たり計50ナノグラム(ナノは10億分の1)とする暫定目標値を設定。全国の自治体に目標値を超える井戸水の取水停止を求めた。

 同会議は今年8月、井戸水を利用してきた府中武蔵台浄水所(府中市)と東恋ケ窪浄水所(国分寺市)の給水地域で、それぞれ住民11人の協力を得てPFOSなどの血漿中濃度を調べた。両浄水所から供給される水道水からは長年、目標値を超える値が検出されてきたという。

 その結果、府中の11人の血漿中PFOS濃度は1ミリリットル当たり平均18ナノグラムで全国平均の約2倍、国分寺の場合は平均12ナノグラムで約1・5倍だった。同会議は、ただちに健康影響が出るレベルではないとしている。

 東京都内で記者会見した中下代表理事は「多摩地域では他にも目標値を過去に超えていた浄水所が複数ある。国はこういった地域で継続的に住民の健康調査をすべきだ」と訴えた。

 PFOSは自然界でほぼ分解されず、体内に蓄積する。泡消火剤や調理器具などに使われてきたが、化学物質審査規制法で2018年、全ての用途での製造・輸入を禁止した。環境省が6月に公表した河川や地下水などを対象にした調査結果では、在日米軍基地や工業地帯周辺など全国37地点で目標値を超えた。【鈴木理之】