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#最後の1年

新型コロナに揺れる学生スポーツ界。最高学年の選手は無念や戸惑いを抱きながら「最後の1年」を過ごしています。

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あふれる中傷…コロナ禍耐えた主将が誓う「恩返し」 天理大ラグビー部

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摂南大との交流試合の前に円陣を組む天理大の選手たち=奈良県天理市の天理親里競技場で2020年10月18日、久保玲撮影
摂南大との交流試合の前に円陣を組む天理大の選手たち=奈良県天理市の天理親里競技場で2020年10月18日、久保玲撮影

 心ない言葉が胸に突き刺さった。8月中旬以降、部員62人が新型コロナウイルスに集団感染した天理大ラグビー部。ウェブ上には、チームを中傷する書き込みがあふれた。「原因は寮内での鍋宴会らしい」。根も葉もないうわさがスマートフォンの画面に並ぶ。「『なんやねん』って思った。見ないように、関わらないようにした」。168人の大所帯を率いる主将のフランカー、松岡大和(22)は雑音を遠ざけ、じっと耐えた。

 最初の部員の感染確認は8月12日だった。判明したタイミングはちょうど練習開始前で、部員たちはグラウンドに集まっていた。突然、練習中止を告げられたが、この時は後にこれほど深刻化するとは思ってもいなかった。

 体調不良を訴える部員が相次ぎ、PCR検査で次々と陽性判定が出た。活動自粛から6月11日に約2カ月半ぶりに練習を再開し、慎重に練習の強度を上げている時で、8月に入って接触プレーを解禁していた。5日後には菅平高原(長野県上田市)での合宿を控え、現地で今季初の練習試合が組まれていた。「まさか自分の部がクラスターになるなんて思わなかった。いいところまで(状態が戻って)きたところで起きてしまった」と松岡は振り返る。

 全部員が暮らす寮は閉鎖に追い込まれ、陽性者は病院や宿泊施設へ隔離された。陰性者も寮を出て別施設などに移った。「ほんまに練習再開できるんか」「俺たち、このまま引退しないといけないのか」。離ればなれになった部員たちの不安は募るばかりだった。

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