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今週の本棚・著者に聞く

桐野夏生さん 『日没』

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 ◆桐野夏生(きりの・なつお)さん

 (岩波書店・1980円)

想像する自由を奪われない

 2011年3月の東日本大震災以降、原発事故や政治的な動きを禁忌のように扱う風潮に違和感を覚えていたという。「感じたことを書くのが作家の使命なのに、それを覆い隠して何事もなかったように書けるなら、その方が不思議。いつの間にか、禁忌に法的根拠ができていて、抵触した作家が収容される物語はどうだろうと考えた」。作家たちから「表現の自由」が奪われた近未来を描き、読み手に恐怖の爪痕を残す。

 女性作家のマッツ夢井は総務省の「文化文芸倫理向上委員会」から召喚状を受け取る。指定された駅に着くと、車で携帯電話の通じない崖の上の“療養所”に連れられる。所長の多田は「社会に適応した作品」を書くよう求め、これまでの作品でレイプや暴力を描写してきたマッツを非難。「B98」と番号で呼ばれるマッツの監禁生活が始まる。

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