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緊急現地報告「割れる米国」

衝突する二つの米国 「統合されぬ」都市と地方の価値観 銃の購入うなぎ登りの現実

孫のジョージさん(右)と討論するプリシラ・ミードさん=米中西部オハイオ州アッパーアーリントンの自宅で2020年10月20日、國枝すみれ撮影

 米大統領選は目前だ。激戦州の中西部オハイオ州に、これまで選挙のたびに訪れてインタビューしてきた共和党支持の一族が住んでいる。今回訪れると、一族の多くが4年間でトランプ大統領への反感を深め、社会の分断と衝突を心配していた。大統領選後の混乱を予想してか、全米では銃の購入者も増えている。米国はどこへ向かうのか――。【アッパーアーリントン(オハイオ州)で國枝すみれ】

「私は家をなくしたホームレス共和党員」

 オハイオ州の州都コロンバスの郊外にある高級住宅地アッパーアーリントン。元市長の女性、プリシラ・ミードさん(76)は、共和党穏健派の政治家として州下院議員を8年、州上院議員を2年務め、地方政界の中心にいた。そのプリシラさんは既に民主党のジョー・バイデン候補に郵便投票を済ませていた。

 「トランプは無知だ。それだけでも首にすべき十分な理由だが、大統領としての権力を乱用し、コントロール不能で、混乱を引き起こしている」。プリシラさんのトランプ評は容赦ない。

 「素人にジャンボ機を操縦させるようなものだ」。プリシラさんは2016年夏、トランプ氏を大統領候補に選んだ共和党に幻滅し、「私は家をなくしたホームレス共和党員」と嘆いた。その後、周囲でも同様に「ホームレス」となった共和党員が増えていったという。

 「16年にトランプに投票した20人の友人のうち、今年もトランプに投票するのは2人ぐらい。トランプのような行動をしたら、5歳児だって許されない」

 4年前、プリシラさんは民主党のヒラリー・クリントン候補に投票した。共和党の政治家だった彼女にとって、民主党に投票することは苦渋の決断だった。私は、選挙後に電話をかけてそのことを知り、驚いた。プリシラさんはしみじみした口調で語った。「孫にね、おばあちゃんありがとう、って言われたの」

 今回は迷いはない。「バイデンは中間層に向かって歩いてくる。議会と協力して働くやり方を知っている」

トランプ支持者は「自由を制限されるのが嫌いなんだ」

 そこに不動産会社に勤務する孫のジョージさん(25)が訪れた。どちらに投票するか、まだ迷っているという。「オン・ザ・フェンスだ。どちらに転んでもおかしくない塀の上にいる」。ジョージさんは16年も同じことを言い、最終的にトランプ氏に投票した。「今回は塀がもっと高くなった」

 ジョージさんの周囲にはトランプ支持者がたくさんいる。「彼らは自由を制限されるのが嫌いなんだ。…

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國枝すみれ

1991年入社。英字新聞毎日デイリーニューズ編集部、西部本社福岡総局で警察担当記者、ロサンゼルス支局、メキシコ支局、ニューヨーク特派員を経て、2019年10月から統合デジタル取材センター。05年、長崎への原爆投下後に現地入りした米国人記者が書いたルポを60年ぶりに発見して報道し、ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

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