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ヤングケアラー~幼き介護

孤立するヤングケアラー 初の全国調査に立ちはだかる「壁」とは?

幼少期のアルバムを見て母をケアしていた当時を振り返る元ヤングケアラーの坂本拓さん=横浜市戸塚区で2020年3月21日、玉城達郎撮影

 通学や仕事をしながら家族の介護・世話をする子ども「ヤングケアラー」をめぐり、政府は今冬、全国の教育現場で初の全国調査に乗り出す。関係者が「本格的な支援の第一歩」と歓迎する一方、問題が深刻化する中で、国内の実態把握につきまとう課題を探った。【田中裕之、山田奈緒】

「相談したって、どうせ誰も…」抱える孤独

 「相談したところでどうせ誰にも理解されない」。うつ病とパニック障害の母を中学2年生から就職・独立するまで支えた横浜市の坂本拓さん(29)は、学生の頃、教師や友人に母のことを相談したことはない。「よその人に知られたくない」という母の心情と、精神疾患に対する世間の偏見を分かっていたからだ。

 子ども時代、母の再婚相手は別居し、4歳上の姉も家を出て行った。「死にたい」「お金がない」と繰り返す母を「大丈夫。一緒にやっていこう」と深夜まで励ました日々。母のリストカットや過呼吸を何度も目にし、料理や買い物などの家事もした。

 学校の友人には「お母さんは元気に仕事している」とうそをついた。中学の陸上部では部長まで務めて平静を装い、担任教師は母を交えた三者面談でも異変に気づかなかった。高校卒業後は車の整備士になる夢を諦め、精神保健福祉士の専門学校へ進んだ。

 ヤングケアラーの特徴の一つは、周囲の無理解への諦めや思春期の羞恥心などから外部に窮状を伝えず、孤立しがちになることだ。政府の調査では、こうした児童・生徒をどう把握するのかが大きな課題になる。

 精神疾患の家族らをケアするケースは周囲と「断絶」する傾向が特に強い。小学生から双極性障害(そううつ病)の母と過ごした静岡県の20代女性は「友人や先生に相談したくても、家族から『誰にも話さないで』と口止めされていた」と打ち明ける。

 実際に学校側と子どものギャップを示した調査結果がある。…

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