はまった「斥候」役 下関国際・賀谷が初回先頭打者アーチ 秋季高校野球中国
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高校野球秋季中国大会は第4日の31日、島根県立浜山公園野球場で準決勝2試合があり、下関国際(山口)と広島新庄が11月1日の決勝に進んだ。
下関国際は米子東(鳥取)に七回コールド勝ち。賀谷(かや)勇斗(1年)の初回先頭打者本塁打で、打線が勢いづき、得点を重ねた。
12点をもぎ取った下関国際打線を波に乗せたのは、左のトップバッター・賀谷だった。一回表。フルカウントから右腕・舩木佑(たすく)=2年=が投じた球を「真っすぐしかない」と読み切っていた。167センチと小柄だが、パンチ力が持ち味。内角高めを振り抜くと右翼スタンドに飛び込む公式戦初アーチとなった。
2球前に命拾いしていた。「打ち上げてしまった」と悔やんだ中途半端なスイングでの打球は三塁ファウルフライと思われたが、三塁手が目測を誤って捕れなかった。「思い切って振っていこう」と、気持ちを切り替えた。
新チーム結成当初は3番だった。しかし、坂原秀尚監督が「チームで最初に打順が回ってきてほしい打者」と、配置転換した。打撃以上に期待しているのが、その「眼力」の高さだ。「野球を見る目がある。グラウンドのいろんな所を見て、情報をチームに伝えることができる」という。「斥候」役の1番は、ピタリとはまった。
広島県呉市出身。2018年夏の甲子園で下関国際が8強入りしたのを見て「このチームで野球をやりたい」と故郷を離れて入学した。寮での暮らしはスマートフォン持ち込み禁止など制約もあるが「寮での生活ぶりが、そのまま野球に出る」という坂原監督の言葉を守り、掃除など規律正しい日々を送ることを心がけている。
秋季中国大会での決勝進出は3年ぶり2回目。おかやま山陽(岡山)に延長戦でサヨナラ負けした前回は、七回表まで9点をリードしながら、ひっくり返された。あの悔しさを晴らして頂点に立つには、賀谷の「目」が重要となる。【堤浩一郎】