「寮長のご褒美」信じ殊勲打 明豊・代打の米田友 秋季高校野球九州
毎日新聞
2020/10/31 21:11(最終更新 10/31 21:11)
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高校野球の秋季九州大会は31日、長崎市の長崎県営野球場などで1回戦4試合が行われ、2020年甲子園交流試合に出場した明豊(大分)が九州国際大付(福岡)に4―1で勝利し、準々決勝に進出した。
「寮長のご褒美」を信じ続けた代打の米田友(2年)が殊勲打を放った。
強打の明豊らしからぬロースコアの展開。八回にようやく1―1と追いつき、九回に1死一、二塁の好機を作った。当たりのなかった9番打者に代わって打席に立ったのは米田。速球自慢の相手投手に2球で追い込まれたが「速い球は対策してきた」と落ち着いていた。5球目、真ん中付近の直球を捉えると右中間を深々と破った。決勝打となる2点三塁打にベース上でガッツポーズ。よぎった思いは「やってきて良かった」だった。
野球部約50人が暮らす寮の寮長を務める。「物事を怠らずに積み重ねることができる」と評する川崎絢平監督や、前任の先輩の推薦で決まった。朝一番に館内放送で仲間を起こし、夜はブレーカーを落とす。「細かい掃除まで徹底する」と朝から晩まで目をこらす。
裏方の役割に没頭するのは「当たり前のことを当たり前にすることで見えない力が働く」と信じるからだ。
根拠はある。2019年春のセンバツ大会準々決勝、龍谷大平安(京都)戦。延長十一回にサヨナラ打を放ったのは、途中出場だった寮長の後藤杏太だった。明豊はこの勝利で春夏通じて初の4強入りを果たし、「ちゃんとやっていたら、ああいう結果がついてくる」と米田。強烈な記憶が脳裏に焼き付いている。
うれしい活躍にも米田は満足していない。今秋の公式戦でエラーを重ねてしまい、背番号は二桁になった。「次の試合も勝たないと。そのためにレギュラーで活躍したい」と、さらなる活躍を誓った。【吉見裕都】