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映画、ドラマに仲野太賀が引っ張りだこのわけ いいヤツだけど、目の奥に潜む不穏な何か

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インタビューに答える俳優の仲野太賀さん=東京都渋谷区で2020年10月29日、長谷川直亮撮影
インタビューに答える俳優の仲野太賀さん=東京都渋谷区で2020年10月29日、長谷川直亮撮影

 仲野太賀が演じる人物は、基本的にいいヤツだ。誠実で優しい。ちょっと優柔不断で頼りなかったりする。しかしその目の奥に、不穏な何かが潜んでいる。油断していると、不意に鋭い刃先が光る。実はけんのん。奥行きのある存在感は独特で、引っ張りだこである。2020年は「静かな雨」「生きちゃった」「泣く子はいねぇが」と主演映画が3本、TBS系の連続ドラマ「この愛あたためますか」にも出演中だ。急成長株の素顔をのぞいてみた。【勝田友巳】

2世だけど、父の背中を追うのとはちょっと違う

 デビューは2006年、13歳だったから、すでにキャリアは15年。ここにきて、めきめきと頭角を現してきた。

 「ここ2、3年で少し、変わってきたのかな。でもドーンと、大きく変わった瞬間があったというより、ちょっとずつ変化して今がある感じ。イキがいいから試しに使ってみよう、みたいに思われるタイミングは過ぎて、役割も変わってきたかなって感じがしますね」

 父親はバイプレーヤーとして活躍する俳優、中野英雄。幼い頃からテレビや映画が好きで「キラキラした世界に憧れていた」という。芸能界が身近にあった。とはいえ、七光りはあたらない。一度は芸能界入りのチャンスを自ら蹴ったそうだ。

 「うんとちっちゃい頃に、子役のオーディションに1回だけ行ったことがあるみたいです。父が親バカぶりを発揮して、かわいいからオーディションでも受けさせてみようとでも思ったんでしょう。でも、その時はイヤすぎて、泣いて逃げ去ったみたいです(笑い)。ぼんやりとしか覚えていないですが」

 「父が出た作品は、物心ついた頃はあまり見られなかったんで、父の背中をということではなかった。2世ですけど(笑い)、テレビに映っている人、映画館で会える人に普通の感覚で、普通に憧れたんだと思います」

いい作品を作りたいという志がある人とは、いずれまた巡り合える

 オーディションで役をつかみ、出番は少ないながらも、強い印象を残した。映画界では早くから注目され、14年ごろから出演作が急増、特に気鋭の監督から繰り返し声がかかった。深田晃司と「ほとりの朔子」「淵に立つ」、中川龍太郎とは「走れ、絶望に追いつかれない速さで」と主演した「静かな雨」、「タロウのバカ」「MOTHER マザー」で大森立嗣、「町田くんの世界」「生きちゃった」で石井裕也。

 「10代は分かんないことばっかりでしたけど、出会いに恵まれた。深田監督の作品に出演できたし、石井監督とは作品ではないところでお世話になっていたし。影響はすごく受けた。迷った時期もありましたけど、心底いいな、好きだなと思える人に気にかけてもらえたことは幸せでした。仕事がなくても、あの人が見てくれていると思えば、気持ちを保てたというか」

 「役者は、声をかけてもらって始まる、待つ仕事です。手を差し伸べてくれた人に恵まれたのも、巡り合わせ。ぼく自身、いいものを作りたいっていう志を持っているし、尊敬できるな、すてきだなと思う人にも、志がある人が多かった。そういう人とは、離れてもきっと、それぞれが頑張っているだろうと思えたし、行き着いた先でまた出会えるだろうみたいな期待はありました」

「ゆとりですがなにか」山岸役でブレーク

 16年のドラマ「ゆとりですがなにか」で強烈なキャラクターの山岸を演じて、一般の知名度も上昇。役どころも次第に大きくなった。

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