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社説

日銀のETF購入10年 弊害が拡大するばかりだ

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 日銀が金融緩和の一環として、多くの株式を組み込んだ上場投資信託(ETF)の買い入れ策を導入してから10年がたった。

 株価は景気や企業業績を反映して決まるのが原則だ。中央銀行が相場に介入するのは本来「禁じ手」とされる。このため、欧米の中銀は採用していない。

 日銀は「デフレ脱却に必要」と強調する。だが、物価上昇にどうつながるのか国民が納得できるような説明はないままだ。

 その一方で、弊害は大きくなっている。

 市場では「株価が下がれば日銀が買い支えてくれる」との甘い認識が広がり、投資家のリスク感覚が損なわれている。

 ETF購入を通じて日銀が大株主となった企業では、株価が実力以上にかさ上げされている。通常の機関投資家と異なり、株主総会で注文を付けられることもない。

 専門家は「企業経営の緊張感が失われ、統治改革の流れに逆行している」と問題視している。

 ETF購入が始まった2010年当時は、リーマン・ショックの後遺症で日経平均株価が一時、1万円を割り込むほど市場が冷え込んでいた。一時的な「異例の措置」とされ、当初の年間購入額は4500億円だった。

 13年に黒田東彦総裁が就任して以降は国債の大量購入を柱にした異次元緩和も背景に株価の回復傾向が強まった。にもかかわらず、ETFの購入規模を拡大し続け、3月にはコロナショック対応を理由に年間12兆円に引き上げた。

 黒田総裁は「コロナ禍の市場の不安定な動きを緩和した」と語る。だが、米株式市場は中銀が介入しなくても安定を取り戻した。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は株の購入を「考えたこともない」と否定している。

 ETF保有残高は約35兆円にのぼる。日銀は年度内にも年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を抜き、最大の株主となる見通しだ。株価暴落時などに巨額の損失が発生しかねない。

 日銀が突然、買い入れを一切やめたり、売ったりすれば、市場の混乱を招くリスクがある。だからといって、購入し続ける理由にはならない。日銀は相場介入からの「出口」戦略を検討すべきだ。

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