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演劇ユニットiakuの新作「The last night recipe」 生きること、愛することの意味を問いかけ

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「The last night recipe」=木村洋一撮影
「The last night recipe」=木村洋一撮影

 人が共に生きること、人が互いに愛することの意味を、悲しさと切なさをたたえた繊細なセリフ劇で問いかけてくる。横山拓也の新作「The last night recipe」。演劇ユニットiaku(いあく)主宰で、今もっとも注目を集める気鋭の作家の真骨頂と言える新作だ(演出も横山)。座・高円寺(東京都杉並区高円寺北2)での東京公演初日を見たが、コロナ禍の中で満場になった客席が横山への期待値の高さを物語る。

 「コロナを材料としてしっかり使った」という物語は、冒頭から謎めいている。妻であるフリーライターの夜莉(橋爪未萠里)を突然亡くした夫の良平(杉原公輔)。スマホを持たない彼が、残された妻のスマホに見つけたのは夜莉のブログ「last night recipe(ラストナイトレシピ)」で、そこには夫婦が前の晩に食べたものの記録が日々アップされていた。

 時間は現在をはさんで2019年と21年の間を行きつ戻りつしながら、夜莉と良平、夜莉の父(福本伸一)と母(竹内都子)、良平の父でラーメン屋の永井(緒方晋)ら、もつれ合った家族の思いが、謎を解くようにほどかれていく。

 家族の物語にさらに複雑に絡みついてくるのが、夜莉のフリーライター仲間の綾(伊藤えりこ)と元カレの早田(小松勇司)だ。綾のように本を出したい夜莉のあせりや功名心が、一つのフックになり、見る者の心に引っ掛かりを残していくのは、シンプルな共感を…

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