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日本の19年石綿関連死者数、推計2万人超 研究機関調査

吹き付けられた石綿=東京労働安全衛生センター提供

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 世界の病気別の死者数などを推計する研究「世界疾病負荷」(GBD)の結果が10月に更新され、日本のアスベスト(石綿)による年間死者数の推計が初めて2万人を超えた。世界でも米国、中国に次ぐ3番目の多さで、日本が石綿の「被害大国」である現実が浮き彫りになっている。

 GBDは、米ワシントン大の保健指標評価研究所が中心となり、世界各国から集めたデータを包括的に分析して病気別の死亡者数などを推計する国際研究プロジェクトで、1~2年に1度、結果が公表される。今回はがんや感染症、糖尿病など369種類の病気について、リスク要因ごとに死亡者数などを推計した。

 石綿を吸い込むと、がんの一種の中皮腫や肺がんなど深刻な疾患を引き起こす。中皮腫はほぼ全て石綿が原因とされ、厚生労働省の人口動態統計によると、日本では2019年に1466人が亡くなったことが確認されている。一方で肺がんは、喫煙や大気汚染など別の要因と区別ができないため、石綿由来の肺がん死者数としては国内統計がなく、被害の全体像は分かっていない。

 今回更新されたGBDによると、日本では19年に仕事での石綿吸引が原因で亡くなった人が2万699人いると推計された。米国では年間約4万人、中国で年間約2万6000人が亡くなっているとされ、日本は3番目の多さだった。また、世界全体では石綿が原因で年間約24万人が亡くなっているとしている。

 日本の石綿による推計死者の疾患ごとの内訳をみると、肺がんの死者が1万8342人と最も多く、中皮腫の推計値1599人の約11・5倍だった。また日本で公的に石綿が原因で発症するとは認められていない卵巣がんで204人、咽頭(いんとう)がんで122人が亡くなっているとも推計された。

 日本では石綿が原因で中皮腫や肺がんなどを発症したと認められた場合、労災保険と石綿健康被害救済制度によって、補償や救済を受けることができる。全国労働安全衛生センター連絡会議(東京都)によると、19年度にこの二つの制度によって補償や救済を受けられたのは約2100人で、GBDの推計値の1割にとどまっている。連絡会議の古谷杉郎事務局長は「日本の石綿被害の実態は分かっていない。今回の推計は、現在の補償や救済では被害者を救いきれていないことを改めて示している」と指摘する。【柳楽未来】

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